2014.04.22 11:48

【学生記者が行く】「スタディオン」古川宜宏社長に聞く

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記者:富永祐生

1989年創業のスタディオン(堺市堺区)は、おもにオーダーメードキッチンの開発と販売を手がける。2011年には本社内に「オーダーキッチンミュージアム」を開設し、サンプルをもとに具体的な構想を描いてもらえるよう工夫している。「お客さまにとっての使いやすさを追求し、家庭に幸せを提供することをめざしている」と話す古川宜宏社長に、キッチンづくりの面白さを聞いた。


――現在の事業に至るまでの経緯を

 「創業当時はドイツの家具の輸入販売を行っていた。しかし、大企業が専属の代理店となるケースが増え、5年後には輸入ができなくなってしまった。新たな事業を模索していたときに阪神・淡路大震災が発生した。建築家やインテリアデザイナーとのネットワークを生かして復興に貢献できないかと思い、96年から神戸を中心とした公団住宅のリフォーム業を開始した。その後、それぞれキッチンメーカーとオーダー家具メーカーに勤めていた2人の社員が入社し、04年から両者の経験を生かせるオーダーメードキッチンに取り組み始めた」

 ――オーダーメードキッチンが完成するまでの流れは

 「ホームページなどで当社に興味を持ってくれたお客さまと本社内の『オーダーキッチンミュージアム』で会い、予算をはじめ家族構成や家の間取り、普段の生活における食事の位置付けなどを聞き取る。過去の作成例をまとめた写真集を用い、平均で約4時間話し合った後に図面を作成する。キッチンのサンプルをもとに高さや奥行きなどを微調整し、提携業者への部品の発注や、職人への組み立て委託を経て完成。受注してから約1カ月後にお客さまの家に納品される」

 ――顧客との向き合い方は

 「東京のお客さまから『200万円程度でキッチンをつくりたい』という依頼があった。しかし、希望する内容のキッチンに、運送費や施工費を加算するとその2倍近い費用がかかる。そう説明したところ『手抜きはしないだろう』とかえって信用してもらい、受注につなげることができた。予算面で要望に応えられないこともあるが、その分、より使いやすいキッチンを提供することが当社の掲げる『オーダーメード』だ」

 ――仕事の面白さは

 「お客さまが新しい発想を与えてくれることだ。過去に、車椅子に乗ったお客さまから『調理しやすいよう高さを調節してキッチンをつくってほしい』という注文があった。自由に高さを変えられるオーダーメードの利点を最大限に生かせる方法を知った。その後は、体の状態に合わせたキッチンづくりについてホームページ上で特集を組んだほか、オーダーキッチンミュージアム建設の際にはスロープを設けるなどしてバリアフリー化した。お客さまに選択肢の豊富さを知ってもらえるよう工夫を重ねている」

 ――今後の展望を

 「毎日の食事をつくるキッチンは家庭において、最も大きな役割を占める。一人一人の個性に合ったキッチンの実現が、家庭の幸せへの第一歩と考えている。『湘南に住んでいるから、壁の青いタイルに合う、海をイメージできるキッチンにしたい』など、これまでさまざまな要望があった。今後もお客さまの意見を直に取り入れ、新たな発想を次々と獲得することで、キッチンの可能性を広げていきたい」       

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記者プロフィール

富永祐生

富永祐生

役職 : 報道部デスク
卒業 : 関西学院大学社会学部
出身地 : -
誕生日 : 1991年3月25日
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