2014.04.22 12:21

【学生記者が行く】「きゃんナナ」山口るり子代表に聞く

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記者:別宮薫

1999年に設立されたきゃんナナ(大阪府大阪狭山市)は、ドッグウエアをはじめとする犬用アイテムのメーカーだ。フリルやリボンをあしらったデザインが人気で、年間約2万着のウエアを売り上げている。「幸せまで感じるようなかわいらしい商品を提供したい」と語る山口るり子代表に、起業のきっかけやデザインへのこだわりを聞いた。



――起業の経緯を

 「18年前、裁縫が得意な母と一緒に、飼っていた柴犬と紀州犬のドッグウエアをつくったところ『うちの犬にもつくってほしい』と近所で評判になった。ドッグウエアの需要は思っていたより高く、次第に隣の市からも注文が来るようになった。ビジネスの可能性を強く感じ、ペットショップへの営業回りを本格的に始めた」

 「当時、ドッグウエアはまだ珍しかったため、急激に売り上げが伸びた。個人では注文を管理しきれなくなったので、99年に私が社長となって会社組織にした。少しずつ従業員を雇い入れ、今は母を含めて12人とともに働いている」

 ――設立当初と比べ、競争相手が増えた

 「業者向けの展示会に積極的に参加したり、配布用の商品パンフレットをつくったりするようになった。長年当社の商品を愛用してくれているお客さまを招き、神戸の異人館でパーティーも開いた。当社の特徴であるフリルやリボンがついたデザインと、価格は変えていない。業界の変化に対応しながら、コツコツと堅実に働いてきた。価格競争で大手に対抗するのは厳しいが、お客さまに喜んでもらうことを第一に考えた商品をつくり続けることで、市場で生き残っていけると考えている」

 ――社長自らデザインを担当している

 「幼稚園児のころから絵を描くのが好きだったので、デザインを仕事にできたのは幸運だった。デザインで気を付けていることは2つ。1つは歩行など犬の動きを邪魔しないようにすること。2つ目は、たくさんのドッグウエアが並ぶペットショップでも、当社の商品が真っ先に目に入るようなかわいらしさを追求することだ。ポロシャツやワンピースに見立てた商品など、1シーズンに30近いパターンの新作を一人で考案する。日常でも、ほとんど無意識のうちにファッション雑誌などを参考にしている。アイデアが思い付かずに苦労することは多くあるが『かわいい!』と感じた瞬間の楽しさや喜びを表現できるこの仕事には、大きなやりがいがある」

 ――かわいらしさを重視する理由は

 「『このわんちゃんと家族になれて幸せだ』と感じる瞬間を演出することが当社の使命と考えているからだ。例えば、飼い犬が亡くなったとき『一番似合っていた服を着せて送ってあげよう』と当社のドッグウエアを選んでくれたお客さまもいる。『この服を着せて、一緒に出かけたことがあったな』という幸せな思い出をつくることに関われていると感じる」

 ――目指す会社像は

 「顧客に愛され、必要とされる会社だ。現代は、犬をペットではなく家族としてみる人が増えていると感じている。顧客と犬の絆を強めるドッグウエアで、幸せな気持ちと時間を作り出したい。また、社員にとっては『ここで働いてよかった』思われる会社だ」

 「2、3年前から身内以外の社員が多く加わり、働きやすい環境をより追求するようになった。睡眠時間より長い時間を会社で働いてくれている従業員たちには、感謝してもしきれない。自分にできる恩返しとして、見合った報酬とやりがいを従業員に与えられる会社づくりを進めたい。商品づくりを通じて、お客さまと従業員みんなを幸せにできればと思う」

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記者プロフィール

別宮薫

別宮薫

役職 : -
在学中 : 大阪大学人間科学部(3回生)
出身地 : -
誕生日 : 1992年10月12日
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