2012.09.10 11:07

【中小企業で働く学生を追う】関学大 濱本啓佑さん

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記者:廣川大悟

「仕事とはどういったものなのか、自分のやりたいことは何なのかさえ分からなかった」と語るのは、関西学院大学3年生の濱本啓佑さん(20)だ。濱本さんはブランド名刺の企画・販売、セミナーの企画・運営を主な業務とする株式会社わくわくアップ(大阪市北区西天満)で今年2月から半年間のインターンシップを始めた。ブランド名刺とは「個人をブランド化する」というコンセプトのもとに、本人の顔写真やキャッチフレーズを記載した名刺のこと。名刺を持つ人が誰のために、何を使って、何ができる人なのかを明確に表している。名刺の裏面にプロフィールとしてその人の過去の体験、現在の自分、未来の夢・行動が書かれている。同社では、依頼者との入念な面談を繰り返すことによりそれを可能にしている。これらの特徴によって、名刺交換の場を形式的に終わらせず、目の前の人と「つながり」をつくる場へと変化させている。

渦を巻くような人間関係を
同社では「インターンシップを通して0から1を創りあげる経験をしてほしい」という
上林達矢社長(40)の考えから、インターン生に新規事業を任せている。同社の歴代インターン生も自分で目標を決め、取り組んできた。濱本さんが考えたのは、自ら作った名刺=写真=のような商品を阪神タイガースの選手やファンに使ってもらうことだ。小さいころから野球が好きで、大の阪神ファンだという。ビジネスだけではなく、人とのつながりを作っていきたいという思いからできた名刺だ。今のところは濱本さんの個人的な活動なので問題ないが、これから事業としての規模が大きくなっていくと球団との版権問題も浮き上がってくるだろう。筆者の私としては、それこそチャンスだと考えて一気にタイガースの選手へ名刺を普及させてもらいたい。

濱本さんは日々の業務を行う上で、「つながり」を感じることが多いという。主な業務にセミナーの告知と募集がある。セミナー事業は先代のインターン生が始めたため、濱本さんはそれを引き継ぐ形となった。「引き継いだ当初は、全く人が集まらなかったが、今は集まってもらえるようになった」と濱本さんは語る。先代のインターン生に独自の工夫があったために、一時的に人が集まらなくなったのだろう。画一的な募集メールを送るのではなく、実際に参加してもらった人への対応を変化させるなど、個人と個人の集客を意識したところ、次第に集まるようになったという。

人と接する業務を行う上で、濱本さんが大切にしているのは「渦を巻くように人間関係を広げていく」という考え方。自分を中心に、近い関係の人から繋がりを発展させていくというわけだ。濱本さんの場合、野球好きという特徴を生かすことができないかと考えた。インターンシップを始めるまでは仕事での付き合いは、金銭だけのドライなものだと思っていた。しかし実際には、友人のような関係からビジネスが始まっていくことを実感したという。「自律的に動いた結果、幅広い人達とつながりを持てたことが嬉しい」と濱本さんは語った。

仕事とは何か、という問いに対してはまだ明確な答えは出せていないそうだ。「今は目の前のある目標に向かって努力していくのみ、その中で答えも見つかると思う」という。


<取材後記>
濱本さんの笑顔が思い出深い。特徴的な名刺のおかげもあったはずだが、自分の仕事を楽しんでいるからこそ印象に残ったと思う。私も仕事での付き合いは、薄情なものだという意識があった。しかし、自身の経験を振り返ってみても、ミッションに取り組む人間がいい意味で楽しんでいるとき、その表情は確かに充実していた。今年で創業4年になる「わくわくアップ」。設立2年目から毎年インターン生を受け入れてるが、その全員が新しい仕組みや事業を生み出している。歴代のインターン生の功績を踏まえて、これからこの会社がどのような活躍をしていくのかに注目していきたい。

(学生通信社 甲南大学 廣川大悟)

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記者プロフィール

廣川大悟

廣川大悟

役職 : 甲南大学桐畑ゼミ代表
卒業 : 甲南大学マネジメント創造学部
出身地 : 愛媛県今治市
誕生日 : 1991年11月29日
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