アパレルの製造販売を行うイコール(大阪市西区)は30日から、学生を対象にしたインドネシア・バリ島での語学留学を企画する。代表の岡本真太郎氏に留学事業を始めたきっかけや参加する学生への期待などを聞いた。客観的な視点で日本を見て
――なぜインドネシア・バリ島が留学の場に適しているのか
「忙しい日本での生活を忘れて人生について考えることができ、必要な勉強に集中できる雰囲気があるからだ。4年前、仕事で初めてバリ島を訪れたときのことだ。仕事が終わり、ホテルのバルコニーに立つと夜風が心地よく、遠くの方からヒンズー教の民族音楽が聞こえてきた。その時、子供のころの日本のような、ゆったりとした時間の流れを感じた」
――バリ島には独自の文化がある
「9割の人は、バリヒンズー教の信者で独自の文化を築いてきた。バリ島は、観光地として世界から多くの人が集まるため、さまざまな国の人たちと触れ合える機会がある。アメリカや欧州に留学するのもいいが、成長中の地域で語学を学んでほしいと思う」
――語学留学を企画したきっかけは
「若いころに英語を話せるようになっておけばよかったと後悔しているから。私は江戸時代から続く商人の家庭に生まれ、親戚にも商売人が多かった。商売に関する心構えや話術も学ぶことができ、幼少からコミュニケーションは得意だった。日本語ではうまく自分の気持ちを伝えられる」
「ただ、英語が話せないため海外で気持ちが伝わらず歯がゆい思いをした。英語は学ぶものではなく、使うための道具として若いうちから習得しておけば、人生の幅が広がると今は思っている。だからこそ、時間のある学生の時期に勉強できる場を提供したいと考えた」
――なぜ学生を対象にしたのか
「若い時期に多くの努力をしてほしいからだ。私の経験から、人の成長は35歳で止まると思う。私は大学卒業後、繊維業界の大手で働き始めた。会社の決定事項に従うことができずに3年で辞職。父親の会社で働くことを希望したが、5億円の負債を抱え、周囲の人から入社を反対された。しかし、前職の時から父親の会社の連帯保証人になっていたことで『やれるだけのことを必死になってやろう』と腹をくくった。寝る間を惜しんで仕事をしてきた結果、助けてくれる人も現れ、借金を返済することができた。だからこそ、学生もあきらめずに若い間に取り組んでほしい」
――学生に期待することは
「日本を客観的な視点で見てほしい。15年前、私が初めて中国を訪れたときに目をぎらぎら輝かせて一生懸命に働く現地の人を見て、『このままだと日本の産業は負ける』と危機感を持った。そして、海外のさまざまな国で仕事をしていくうちに、日本人の仕事に対する真面目な姿勢や丁寧な仕事は、アジアのどの国よりも優れた才能に基づいていることに改めて気付いた。他国にない日本のよさを生かし、アジアのリーダーとして他の発展著しい国を取りまとめて引っ張っていくべきだと思う。母国を客観的にみることで、学生生活を終えた後の進路を考える機会にしてほしい」
※「フジサンケイ ビジネスアイ」2013.6.17(西日本版)掲載
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