2012.07.04 15:09

八百屋で社会貢献とビジネスを両立 八百鮮

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記者:小西佑弥

野菜と鮮魚の専門店の「八百鮮」(大阪市福島区)は、障害のある人の雇用を積極的に行っている。現在、全従業員11人のうち4人が発達障害、精神障害を抱える人たちだ。「障害のある人だから雇っているという感覚はないです。全従業員が同じように働いています」と市原敬久社長(29)は話す。八百屋で起業した理由は2つある。1つ目は障害者や元「ひきこもり」の人などに働ける場所を提供できると感じたからだ。市原社長は学生時代に福祉と経営の融合を目指すNPO法人「経営パラリンピック委員会」で活動していた。そこで、働く意志があるのに働く場所がなく困っている人を見てきた。その経験から、自らが起業して雇用問題に取り組むことを考えるようになった。八百屋には売り場に立って接客する仕事のほかに、商品を店頭に並べるまでの仕事があり、接客が困難な人も雇用することができる。

 2つ目は仕入れた商品を売るというシンプルな仕組みで商売できるからだ。販売のノウハウを知れば誰にでも仕事ができると市原社長は考えた。

 八百屋で成功するには大型スーパーとの差別化を図る必要がある。八百鮮の売りは新鮮で質の高い商品だ。仕入れた商品をその日のうちに売り切るために夕方には赤字覚悟で値下げを行う。岩崎譲副社長(28)は「赤字でも売り切る。お客さんが得をし、また店に来てくれればいい」と話す。接客にも工夫があり「今日は天気がいいですね」などの日常会話から顧客との距離を縮めていき、顧客から商品に対する声を引き出している。仕入は店に立ち、この声を直接聞いた社員が行う。顧客から「昨日買った胡瓜がおいしかった」などの声を聞き、仕入れに生かす。こうした工夫をすることで顧客のニーズに応えることができている。

 市原社長は「社会問題に取り組むためにはビジネスで成功することが必要。継続していかなければ、解決することができない」と話す。顧客のことを第一に考えた仕入れ販売を続けていくことで、ビジネスの継続を図っている。現在、同社は大阪市福島区に野田本店、此花区に2号店を構えている。今後は、小規模多店舗展開で店を増やしていき、新たな雇用を生み出すことで社会問題の解決に取り組んでいく。

(取材後期)
考えてみれば、私は八百屋さんで買い物したことがありません。物心ついた頃から大型スーパーがたくさんあったので買い物する機会がなかったのかもしれません。今回、八百鮮へ取材に行き八百屋さんに対するイメージが自分のなかで変わりました。八百鮮のような八百屋さんが増えていくことで地域が活性化されていくと思います。まだ29歳と若い市原社長に起業するにあたり必要なことを聞くと「絶対できると自分の可能性を信じて下さい」とおっしゃっていたのがとても印象に残りました。




(学生通信社 京都産業大学 小西佑弥)

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記者プロフィール

小西佑弥

小西佑弥

役職 : 企画部 京都産業大学大室ゼミ代表
卒業 : 京都産業大学経営学部
出身地 : 兵庫県西宮市
誕生日 : 1991年9月8日
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