机の上は資料であふれ返り、欲しい資料が一向に見つからない。こんなことを経験した人は多いのではないだろうか。同社が独自に開発した図面や文書のファイリングシステム「デジタルドルフィンズ」はこの悩みを解決してくれる。書類をデータベース化することで、ネットワーク上で必要な文書を瞬時に検索し簡単に見つけることが可能だ。古芝義福社長(52)は「資料の保管スペースが不要になるので、事務所が広くなり景色が変わる」と話す。
「デジタルドルフィンズ」開発の背景には同社が力を入れる「整理・整頓・清掃」の3S活動がある。普通の町工場だが、一歩中へ入るとピカピカに磨かれた床が目に飛び込んでくる。道具は置き場所に全てラベルが貼られ、脱いだ靴の向きまで決められている。同社は14年前から3S活動を始めた。開始当時は食堂の窓ガラスが割れ、ごみが散乱している状態。「そうじをするために働いてきたわけじゃない」と反発する社員もいた。しかし工場内を整理したことで、仕事の効率がアップ。以前は道具を探すのに20分以上かかっていたが、現在は探す時間が短縮し、コスト削減につながった。
「伝統は大事にしつつ、新しい事業に挑戦することが大切。そのために新しい人を入れることが重要」と古芝社長は話す。2008年、リーマン・ショックが起きた際、新卒を雇うのは経営的に厳しかったが、女子大学院生を一人採用した。彼女は大阪市で開かれたイベントに参加。その場で、古芝社長に直接入社させてほしいと要望した。情熱に可能性を感じた古芝社長は自分の給料を半分にして雇うことを決意。特別なスキルはなかったが、中国への留学経験があったので、同じ中国語圏である台湾での3S活動推進を任せた。その後彼女の活躍で、台湾に拠点をつくることに成功した。新入社員でも活躍できる環境がある。
入社4年目の早瀬涼さん(22)は「お互いが仕事を協力しあう雰囲気がある」と話す。現在15人が働いており、来年度は高卒1人の採用を予定している。
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