ピーキューブ(大阪市福島区)は、テレビ番組やインターネットの動画などを制作する会社だ。2013年3月、兵庫県をPRするための動画コンテンツを配信した。建築家、安藤忠雄氏が手がけた県内の建造物を光の魅力を使って紹介したものだ。動画制作のきっかけやこだわりについて、池田由利子(48)社長に聞いた。
――制作したきっかけは?
池田:「安藤建築を海外に紹介するPR映像を制作したい」という話を兵庫県から聞き、県内に住む留学生が紹介する動画を提案したところ、その案と見積りが通ったため動画を制作しました。
――動画の内容は?
池田:安藤氏は関西出身の世界的建築家で光を取り入れたり、自然とコンクリートを融合したりする建築で有名です。
県内には、県立美術館、淡路夢舞台、本福寺水御堂などの『安藤建築』があり、それを来日している留学生のジョサイア・トリムさん(カナダ人)とリュウ・ミョウさん(中国人)に紹介してもらいました。2人とも、とてもカッコ良かったのでオシャレな動画になったと思います。撮影の合間には写真を撮るなどして楽しんでいて、その雰囲気が映像にも出ていると思います。
――こだわったところは?
池田:光の当たり具合が緻密に計算された『安藤建築』の特徴を生かすように工夫したこと。本福寺水御堂では、西日が入ると金色の仏像が明るくなり、後光が差しているように見えて神秘的に感じます。
その光の魅力を動画で伝えるため、通常テレビの撮影で用いるような照明を使いませんでした。ぜひ、海外の人にこういった日本のお寺を見てほしい。
動画のところどころに、ある人気キャラクターを登場させることで楽しく動画を見てもらえるように工夫しました。どこにそのキャラクターが出てくるのかを探しながら見てもらえたらと思っています。
――撮影時に感じたことは?
池田:本福時水御堂の撮影時、外国人の方が見学に来ていて、建物について詳しく知っていたことに驚きました。海外の人の方が詳しいことに少し悔しさを感じました。この体験から国内の人にも、もっと「安藤建築」の魅力を感じてほしいと思うようになりました。
――動画を通じての思いは?
池田:海外からの旅行者は、大阪に到着してから国内を回り、東京から帰国するルートで観光することが多いと聞きます。その途中に兵庫県に寄ってもらえたらと思います。さらに、淡路夢舞台にはレストランや国際会議場があり、淡路島の植物や自然、温泉の魅力を発信することで、国際会議が開かれればと思っています。
――今後、動画を使って配信したいことは?
池田:日本に興味のある人はもちろんですが、今まで日本に関心がなく、あまり日本のことを知らない人にも見ていただけるような動画を配信したいです。
特に日本と中国には近年さまざまな政治上の対立点があります。しかし、日本が好きな中国人も多いです。中国国内で、日本を悪く伝えるようなニュースが多い時だからこそ、日本にいる中国人の方が仲良く一緒に笑って楽しく暮らしていることを発信したい。
もちろん、無視できない外交や政治の問題もあります。文化の違いを認め合い、互いに笑い合える関係をつくる一助になればと思っています。
また、兵庫県という自治体だけではなく、県内の企業や学校などと一体となり、『地域ブランド』としていろんなことを紹介していきたいです。そうすることで、いろいろな人との輪ができるし、ひとりひとりが発信することによってその情報がさらに広がります。より多くの人に伝わる魅力ある動画を制作したいですね。
「兵庫 安藤忠雄建築を訪ねて」
http://youtu.be/cgzrRunwXVw
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