授業で「観光」を取り入れる学校が増えている。観光を通して地域の活性化を考えることで、学生の主体性を育むことがねらいだ。2月14日に大阪観光大学(大阪府泉南郡)で全国高等学校観光教育実績発表会、略称「観高サミット」の第1回目が開催された。全国各地から観光を教育に取り入れた10の高校が集まり、高校生たちが活発な議論や発表を繰り広げながら交流を深めた。
日本は2003年から観光立国を目指し、観光産業が国の経済発展に重要であると取り組んできた。グローバル化によりものが均一化するなか、和食が文化遺産登録されるなど、改めて自国や地域の持つ価値の見直しが必要とされている。
観光が大学や高等学校の授業で取り上げられることも増えたが、その教育法には一般的なカリキュラムが存在しない。そんななか、各校との連携を強化しお互いに気付きを得ようと第1回目のサミットが発足。今年度の主幹高校であった島根県の松江市立女子高等学校の生徒(17)は観光を通して「なにも知らなかった地元を好きになった」と話し「高校生が頑張れば地域は元気になる!」のテーマを設定した。
当日は大雪のなか、北海道から沖縄まで10校が参加した。そのうち5校の高校生たちによって、約10分ずつのプレゼンテーションが行われた。
青森県十和田西高等学校はB1グランプリなどの地域イベントを通した活動、岐阜県益田清風高等学校は地元観光地下呂の温泉地誘致プログラムなど、地域の観光資源を活かした活動内容を発表した。松江市立女子高等学校は、昨年の観光甲子園(高校生の地域観光プランを競い合う大会)でグランプリを受賞した観光プランの実現化について報告し、高校生たちのレベルの高さもうかがえた。
サミットでは高校生たちの発表に加え、開催地である大阪観光大学の学生も観光プランや活動について報告した。大学生による関西国際空港内見学ツアーも実施され、高校生だけでなく大学生との交流も深められた。
同年代だけでなく、少し先の未来を過ごす先輩から話を聞き、見学ツアーで刺激を受けたことは、高校生たちにとって大きな刺激となったようだ。参加した高知県伊野商業高等学校の生徒(17)は「大学生の観光プランやプレゼンテーションはすごい。私たち高校生との違いを感じた」と話す。また益田清風高等学校の生徒(17)は同級生の実績や報告を受け「自分たちはまだまだ」と今後の活動に意気込んだ。
高校生たちは、観光を通して座学だけでは学べない地元の魅力や地域の人の温かさに触れることがきる。参加した高校生に将来の夢や目標を聞くと、明確に夢を語る生徒もいれば、まだ夢をひとつに決められない生徒もいる。
しかし共通して「地元の知名度を上げたい」「地域の魅力を伝えたい」という思いを持っていた。今年度の事務局長を務めた松江市立女子高等学校の高橋良子教諭(39)は「生徒が必ずしも将来観光の道に進むことを希望してはいない。観光教育で身に付く、生きる上で大切な『地域のために・誰かのために』と考える力を活かして欲しい」と話した。
【発表を行った5校(発表順)】
高知県立伊野商業高等学校 http://www.kochinet.ed.jp/inosho-h/
岐阜県立益田清風高等学校 http://school.gifu-net.ed.jp/mseifu-hs/
佐賀県立嬉野高等学校 http://www.ureshino-ed.jp/main/
青森県立十和田西高等学校 http://www.kamikita.asn.ed.jp/~nishi/
松江市立女子高等学校 http://www.shijyo.city.matsue.shimane.jp/
開催地:大阪観光大学 http://www.tourism.ac.jp/
- 【学生記者が行く】「GREEN BLUE」堤庸策代表に聞く(2014.06.01)
- 「観光」で地域を元気に 全国から高校生集まり「観光サミット」(2014.04.24)
- 大阪の金属加工メーカー、原発事故サポートし新たな企業価値を(2014.04.24)
- 進路未定が2人に1人、通信制高校生の未来(2014.04.24)
- 【学生記者が行く】八木俊匡代表に聞く(2014.04.22)