2014.04.22 12:18

【学生記者が行く】「ハートビートプラン」泉英明代表に聞く

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

記者:板谷祥奈

2004年設立のハートビートプラン(大阪市北区)は「心に響く仕事」を目指し、地域を元気にするまちづくりを手がける。ものづくりの伝統を守る運動など、これまで大阪を中心にさまざまな地域で都市づくりを推進し、市民や企業、行政が協力して行う地域独自のプロジェクトを企画運営してきた。「まちを愛する人たちの思いを一つにして、魅力的なまちづくりにつなげていきたい」と語る泉英明代表に事業の現状や今後の展望を聞いた。



――会社設立の経緯から

 「まちづくりに関わりたいと思ったのは『都市再開発』という大学の授業でヒアリングのため金沢に行ったことがきっかけだ。八百屋のおじさんや飲食店のおばさん一人一人が『みんなと一緒にまちをつくってきた』という感覚を持っていることに驚いた。魅力あるまちができる背景には、主体的に関わろうとする人たちの思いがあることを実感。大学卒業後、都市計画コンサルタントとして勤務するかたわら、7人の仲間とともに『大阪をより面白くしよう』と船上カフェを開いた」

 「船の調達からカフェの運営まで自分たちだけで行い、メディアにも取り上げられた。依頼される仕事だけでなく、アイデアを主体的に提案することに大きな可能性を感じ、その両方に取り組もうと04年に設立した」

 ――最も印象に残る事業は

 「東大阪市高井田での取り組みだ。高井田は町工場が並び、ものづくりが盛んだが、近年工場跡地に入居した住民から騒音への苦情が相次ぎ、操業がしにくくなった工場の移転が問題になった。簡単に住宅が建たないようなルールをつくるため、約2000人の土地建物保有者に説明し、9割の同意を得た上で市長に提案した。地域が行政に対し、工場を守る法的ルールの策定を求めることは全国的にもまれ。まちの伝統を次世代に残したいという思いが集まれば、地域や行政をも動かすことができる」

 ――現在、力を入れている事業は

 「07年から参加している『水都大阪プロジェクト』だ。たくさんの水路で成り立った大阪を水の都としてアピールする取り組みで、市民の手でイベントをつくることでまちの魅力を再発見し、地元愛を育む。市民が観光案内する『OSAKA旅めがね』や、川沿いの飲食店に川床をつくり水辺の景観を楽しんでもらう『北浜テラス』などの企画を立案した。現在はプロデューサーとして川や公園など公共空間の活用を認めるよう行政に働きかけたり、企業に投資を促したり、世界に大阪の魅力を発信したりすることで活動を盛り上げている」

 ――まちづくりに携わる上で大切にしていることは

 「市民、行政、企業の3者が一体となったプロジェクトを行うことだ。市民はやりがい、行政は公益、企業は利益というように、それぞれ目的が違う中で足並みをそろえるきっかけをつくるのが自分の仕事。コミュニケーションの機会を少しずつつくりながら相互理解を深め、企画の意義を共有して一体感を高める過程をデザインしていく」

 ――今後の目標は

 「地域に必要とされる『町医者』のような存在をめざしている。最先端の医療で的確に悪い所を治すというより、患者に寄り添い、体の状態を総合的に見ながら治療を行うイメージだ。人や経済のネットワークがうまく機能しておらず、全体のバランスが崩れている地域も多い。どうやって血行を良くするかなどを考え、その地域の性質に合った治療法を提案していきたい」

ギャラリー

記者プロフィール

板谷祥奈

板谷祥奈

役職 : -
在学中 : 大阪大学経済学部(1回生)
出身地 : 三重県
誕生日 : 1994年11月8日
  • facebook
  • Blog
  • Twitter

取材記事

ページの先頭へ戻る