ミチバタ・ジャパン・リミテッド(大阪府河内長野市)は寝具、インテリアなどの店舗販売とインターネット販売を手がける。「布団で人を幸せにする!」を企業理念に、布団のリサイクル、レンタル、リフォームなどのサービスも手がけ、安全と品質にこだわる商品開発力が特徴だ。道端俊彦社長に社長就任の経緯やミチバタ・ジャパン・リミテッドならではの事業の考え方について聞いた。
――父から社業を引き継ぎ、社長に就任した
「大学を卒業し、大手卸売り企業に12年間勤めた。35歳のときに父が胃がんで倒れたことをきっかけに、1998年に父の跡を継ぐため入社した。幸い父は回復したが、当時はサラリーマンを続けるか、仕事を継ぐか本当に迷った。会社の上司に相談したところ『この会社から出たほうがいい。君なら絶対に成功する』と後押しされ、会社を引き継ぐことを決意した。『自分はできる』という気持ちがすごく湧いてきた。上司の言葉次第で、その後の人生が変わっていたかもしれない」
――当時を振り返って
「思い通りにいかないことばかりで、多くの失敗をしてきた。しかし、今までの行動は間違っていなかったと自信を持って言える。また、サラリーマン時代は誰かに守ってもらえるという安心感があったが、自分が社員を守る立場になった。自分が悪くなくとも、従業員や家族を守るために、頭を下げなくてはならないことがある。生まれて一度もしたことがなかった土下座すらした。社長としての責任感の大きさに戸惑うこともあった」
――これまでの事業について
「当初は店舗販売が中心だったが、99年にインターネット販売も始め、寝具やインテリアを中心に事業を展開した。しかし初めはまったく売れなかった。そこで、消費者の需要を季節指数や検索回数で分析し、市場調査を行い、自分たちが戦える土俵を徹底的に探した。約半年で成果が現れてきた。今では、情報分析の結果や睡眠に関する専門知識を生かした商品開発力や、顧客に提案する力を高めることで売り上げを伸ばしている」
――経営で大切にしていることは
「寝具は直接肌に触れるため、安心や安全が必要だ。自分の子供や親に使わせたい、と思える商品を販売したい。取引先を決める際、一つ一つ工場を訪れ、社長の考え方、従業員の態度のほか、トイレまで掃除が行き届いているかなどをチェックしている。また、一緒に仕事をしたいと思う人としか仕事をしない。こうやって今まで築き上げた人と人のつながりを大切にしている。人のつながりは宝物であり、商売をさせていただいているという気持ちが大事だ」
――今後の目標は
「1つ目は、多くの人の睡眠改善をしたい。正しい睡眠について知ることは、健康的な生活を送るために大切だ。その人に合った商品を作り、提供することで、睡眠で悩む人を一人でも多く救いたい。2つ目は、環境問題への取り組みだ。粗大ゴミで、多く出されるのが布団だ。布団のリサイクル、レンタル、リフォームなどといったサービスを行うことで粗大ごみの低減につなげ、焼却の際に出る二酸化炭素の削減に貢献したい。3つ目は社会貢献。レジに募金箱を設置し、売り上げの一部をアジアの子供たちのために寄付している。仕事を通じて少しでも社会の役に立ちたい」
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