「日本人にもっと日本に興味と誇りを持ってほしい」と思いを持つ元プロボクサーで現在は世界を旅している川辺聖弥さん(23)=大阪府池田市在住、写真=は大阪市淀川区西中島で日本史の勉強会「歴史勉強塾れきべん」を毎月開催している。学校の教科書では語られない部分を中心に詳細を伝え、歴史に興味を持ってもらうことを第一の目的にした講義だ。次回は7月11日の開講を予定している。「れきべん」は日本近現代史研究者で、大阪国際大学、皇學館大学の非常勤講師、久野潤さん(31)=京都府八幡市=と共に昨年11月に立ち上げられた。過去に取り扱ってきた内容は「日本国憲法は誰がどんな経緯でどのような思いで作られたのか? 改めて中身を読んでみよう」「太平洋戦争があったというが、当時の戦争はどのように行われていたのか?」などだ。久野さんは「小学6年生、12歳になるまでに歴史を学ばない国は私の知る限り日本ぐらい。それだけ世界的に日本の歴史の教育が遅れている」と日本史勉強の必要性を話す。今後は「歴史に興味がない人が日本人に多い」という理由から、日本史に興味がない人にこそ参加してもらう事を目標としていく。
川辺さんは21歳の時、初めてのボクシング公式試合で勝利はするも、両目を負傷、それが影響し1試合のみで引退を余儀なくされた。その後は自分らしい生き方を探して世界を旅している。その中で、多くの人が自国の歴史を語ることでコミュニケーションをとる一方で、日本人は日本の歴史や特徴を語れないという場面に出くわすことが多かったという。
川辺さん自身、あまり歴史に詳しくないが、「日本は皇紀で今年2672年目。その間一度も滅びたことがない、ギネスにも認められた世界最古の国なんです。初めて聞いて驚いた。これは偶然では続かない年月。そのことを誇りに持って知るべきだ」と興味を持ち、日本史の勉強会を開催したいという思いに至った。
「れきべん」は過去7回の累計で153人が参加している。毎回30人前後が参加し、リピーターが多いのが特徴。参加者は小学生から高校生、大学生、社会人、塾講師、政治家とさまざまだ。参加者同士の交流も目的のひとつで、講義後には交流会も行っている。参加者からの高い評価を得て、東京、名古屋、浜松でも開催された。最年少の中学1年生で大阪会場皆勤賞の野田風馬くん(13)=大阪市=は「すごく楽しい、学校の授業と比べて詳しくて面白い。本当の日本史を習っていると感じる」といい、将来は歴史の研究者になりたいと夢を話した。
(取材後記)
日本に留学している韓国人の友人と話をしていて、その意志の強さに圧倒されました。「『留学生』として韓国と日本に対して自分ができること」について語る彼から、その強さの秘密は母国に対する愛情と、日本をはじめとした国外へのリスペクトの精神だと強く感じました。彼は兵役を経験しており、それがきっかけで母国に誇りを持ち、海外の文化にも興味を持ったと話してくれました。
日本人に足りないと言われる愛国心。ただ、それを養うために兵役を日本で始めるのも無茶があると思う。そんな中、出会ったのがこの「れきべん」でした。日本にまず興味を持ってもらおうとするこの講義を、多くの人に知ってもらえれば、日本が海外で、今以上に胸を張れる国になれると思い記事を書きました。
(取材:学生通信社 京都学園大学 津村朝光)
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