今年48年目を迎える仁張工作所は、オーダーメードでオリジナルのオフィス家具やロッカーを作る板金加工の企業だ。ものづくりへのこだわりを持ち、地域になくてはならない企業を目指す。経営理念は「顧客からの満足」「社員自身の満足」「顧客から信頼される企業である」の三つ。一貫した生産体制のもと、受注から生産、発送まで全てを担うことで、顧客の要望に応え、信頼を得ている。製品は顧客のイメージを形にするオリジナルのオフィス家具が中心で、プロも使用する競技場用のスポーツロッカーや美術館用の展示ケースなどがある。
「地域にとってなくてはならない存在」を目標に、周りの企業との連携や、小中学校の職業体験に協力するなど、地域との交流に力を注ぐ。仁張正之社長(53)は「地域の発展に関わっていくことが、中小企業の強みであり、役割」と話す。
板金加工の技術を発展させながらも、「時代に合わせて変化していく企業でありたい。常に新しい風として、外から人を入れ続けなくては変化は難しい」との考えで、新卒採用を10年ほど前から継続。2012年は男子1人、11年は男子1人女子2人を採用した。
新入社員は簡単な作業をしながら、専門技術の研修を受ける。特別な資格などは求めておらず、仁張社長は「将来性で会社を選ぶ人がいるが、自分が会社を存続させてやるんだという思いを持った学生に来てもらいたい」と話す。
「世間ではせっかく入社しても、すぐやめる人が多いとよく聞く」とし、職業選択肢の広さに戸惑い、やりがいを求める人が多いが、とにかく働き続けることが重要と説く。その上で「社員に仕事のやりがいを見つけさせる責任は企業側にある」と語った。
(京都学園大学 津村朝光)
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