薪(まき)や、ペレットと呼ばれる木くずを燃料として販売する株式会社Hibana(京都市中京区)は4月から3カ月間、職場体験を行うインターンシップ生を受け入れた。同社が出した学生への課題は、木材商品の販路の拡大とイベントの企画運営を通して10万円の売り上げを出し、経営者の視点を養うこと。「働く」とはどういうことか、を知るために集まったインターン生たち3人に感想を聞いた。課題に挑むインターン生は福岡麻衣さん(龍谷大学3年生)、堂前綾(りょう)さん(立命館大学3年生)、谷元麻佑さん(同志社大学3年生)の3人だ。
週3日の勤務以外にも最初の2カ月間はイベントのアイデアを出し合ったが、頭の中で考えてばかりで、なかなか行動に移すことができなかったという。「まず、やってみて」と社員に言われたことがきっかけとなり同社と提携する林業の専門家に聞いたり、価格面のアドバイスを受けたりした。身近なものを通して生活に木を取り入れてもらいたいという思いから、骨組がない、柄と板のみでできた100%木を使用したうちわに、参加者が思い思いの絵柄を描くイベントを企画した。
福岡さんは「とにかく行動することの必要性を実感した」と話す。
同社のショップで6月12日~30日の期間中5日間に開催したイベントを通して学んだことは参加者目線で考えることと企業として営利を出すことだという。参加者が20人と、当初の目標より少なかったことから、店舗に入りやすいよう店先で声掛けを行うなどの改善も試みた。「会社という組織の中で働くことで、ひとつの物事をいろんな角度から見るようになった」と堂前さんは話す。
企業として、予算の確認、赤字が出ないかも思案するなどアルバイトでは感じられない経営者としての責任を3人全員が意識したという。谷元さんは「チーム全員が責任感を持つことで、お互いにモチベーションを保ちながら積極的に発言し、行動することができた。今まではそんな経験をしたことがなかった」と話す。発注したうちわはイベント最終日、ほぼ完売となった。
「インターンシップ生たちの一生懸命に取り組む姿は、社員全員が刺激を受け、日々の業務の見直しを行うきっかけになった」とインターンシップ生の指導を担当する社員の林エリカさんは話す。自身が同社のインターンシップ経験者であることを振り返り、インターン生それぞれが自分の目指す「なりたい姿」を実現してほしいという。
(取材後記)
「この木は杉からできているんです。しなやかだけど丈夫なのが特徴で、ずっと使ってもらえます」参加したインターン生のイベントで、谷元さんはイベントで使う木を触りながら嬉しそうに説明してくれました。当初、同社の事業について知識を持たなかった3人も、イベントを通してどんどん木に愛着を感じていることが伺えました。この冬に就職活動を控えたインターン生3人は、大きな会社ばかりでなく、Hibanaのように、小さいけれど専門的な会社があってこそ、社会は支えられているのだと実感が湧いたと言っていました。いろんな働き方があることを、実体験を通して感じられるのもインターンシップの魅力であると今回の取材を通して感じることができました。
(学生通信社 龍谷大学 守谷綾乃)
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