「お客さまがマイホームに対して持つ、夢をかなえたい」と、自然素材を使ったリフォームや新築工事、不動産売買を手がける「ゆいま~るClub」(大阪市北区)。社員数は4人と少ないが、丁寧な対応を心がけ、生活者の健康と地球環境に配慮した住宅を提供している。沖縄県出身で朗らかな顔立ちの加藤栄代表に、自然素材にこだわるようになったきっかけと今後の展望を聞いた。
――ゆいま~るClubの名前の由来は
「夢をあきらめないあなたのベストパートナー」を目指し、自然素材に囲まれたオフィスで働く加藤栄代表
「『ゆいまーる』は沖縄の方言で『お互いが支えあう』という意味。大学卒業後、養子という立場に悩んでいた。親族の家の跡取りとして養子に入り、養父の会社で働くことができた。一方で、何をするにも養父の許可が必要だった。制約が多く自由な生活を夢見ていた。そんな中、事業の方向性で考えが合わず養父の会社からいわば放り出されたとき、私を信用して大きな仕事をくれる仲間、無担保で高額融資してくれた仲間がいた。生かされていると感じ、信頼関係や絆がこれほど大切だと思ったことはなかった。また、下請けが叩かれやすいこの業界で、職人や取引会社を尊重して信頼関係を築き、共存共栄の住宅づくりをしていきたい。そういう思いを込めた名前だ」
――自然素材にこだわるようになったのは
「仕事があまりない時に受けていたセミナーの講師から『自然素材=本物』『本物を知れば本物を使いたくなる』という話を聞いた。それと同時に、今まで自分が使ってきた化学物質由来の建材が、いかに人体へ悪影響を与えるかを改めて知った。これまで自然素材は高額で自分たちが扱える商材ではないと考えていたが、本物の素材を使わなければならないと決めた。自然素材は人間の健康を守るだけでなく、地球環境維持にも貢献できる。これ以上良い素材はないと思った。その良さを実感しようと、2009年には自ら自然素材を使った戸建新築(大阪市天王寺区)を建てて住み、モデルハウスとしても公開している」
――中でも特に力を入れていることは
「より地球環境に配慮した家を作ること。自然素材と呼ばれる素材にも、塗料や接着剤などに化学物質を含んだものがある。また、天然資源の過剰伐採・採掘は自然破壊につながりかねない」
「そこで、産地表示された素材を使うこと、自然に返すことができる以上に資源を取らないなど、3つの基準を設け、環境に配慮した住宅づくりを目指している。そのひとつとして、適切な森林環境保全がなされた地域の木材に認証される世界自然保護基金公認の環境配慮基準(FSC基準)を満たす建材を使うことにしている」
――顧客の反応は
「団地から自然素材の家に引っ越した人から、子供の汗が以前はべとべとだったのに、さらさらになったという声をもらった。湿度調整機能のある植物性プランクトン由来の珪藻土塗壁材を用いた家では、洗面所の鏡が湿気で曇ることがなくなったといわれた。他にも、深い睡眠がとれるようになったなどの反響がある」
――今後の夢は
「2020年までに、家も暮らし方にもこだわったコミュニティーを創ること。自然素材の家に住み、省エネなど地球環境に配慮した生活を営む。コミュニティー共同の菜園を持ち、収穫物はみんなで分けるような暮らしを提供したい。現在、関東の自然素材リフォーム会社と立ち上げたブランド『むくむくはうす』で環境循環型住宅を建てていく計画を立案し、実現を目指している」
※「フジサンケイ ビジネスアイ」2012.7.16(西日本版)掲載
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