2014.04.22 12:07

【学生記者が行く】「大洋薬品大阪販売」埋金洋介執行役員に聞く

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記者:吉田怜奈

1972年の設立以来、医薬品の販売や調剤薬局の運営を行ってきた大洋薬品大阪販売(大阪府池田市)が4月から、新たに保育事業を開始する。病児・病後児保育所を併設した保育園「KIDS FIRST(キッズファースト)」を大阪市北区と同市東成区で同時に開園する予定だ。「保育に医療を取り入れることで、これまでにない安心を提供したい」と語る埋金(うめがね)洋介執行役員に保育事業への進出の経緯や、開園後の展望を聞いた。

 ――保育事業を始めるきっかけは

 「2005年から女性を対象とした医療機関や保育施設の支援活動を開始し、現場でスタッフの訓練を行う中で、子育てに悩む医師や看護師を多く目にしてきた。同年に保育園立ち上げの準備室を開設し、認可・認可外保育園の開設を検討。一般的な保育園では夜間に子供を預かってもらえないことが多い。自宅まで迎えに行く必要があるため、医師の場合は患者の診察に支障がでる。育児休暇後の現場復帰にも困難が伴い、実際に数件の相談を受けたため、07年に保育事業部を立ち上げた」

 ――キッズファーストの特徴は

 「『薬局の隣に託児所をつくってはどうか』という医療従事者からの声を受けスタートしたが、託児所は地域にすでにある。幼稚園や保育園ではできないサポートとして、まず医療従事者の子供の問題の解決をめざす。当園は午前6時から午後10時まで年中無休の対応を予定しているほか、病児・病後児保育に力を入れる。朝起きた時点で熱があったり保育時間中に病気になったりした子供も、協力病院での受診を経た後に当園で預かる。重い病気の場合は直ちに協力病院への入院手続きを取ることができる」

 ――特に注意していることは

 「乳児と呼ばれる満1歳未満の子供は、特に突然死のリスクが高い。『小さい子供はけがをして強くなる』という考え方はせず、けがや病気の予防を第一に考えている。健康な子供を預かる施設と病児保育用施設を完全に分けるなど感染防止を徹底。来園者には入り口の前で消毒をしてもらうほか、感染症専門医から受ける情報を毎日の子供との接し方に生かす予定だ」

 ――課題は

 「入園料を抑えられなかったことだ。認可保育園は家庭の年収などに応じて国や自治体から補助金を受け取れるが、認可外の当園では受け取れない。そのため地域の幼稚園や保育園、そして保護者から理解が得られるかが心配だ。コストの8割は人件費で、安全と安心のためには人の力が必要だということを伝えていきたい。地域の幼稚園や保育園と競争することなく、手の届かない部分を補い合う形で連携していければと考えている」

 ――今後の展望を

 「4月開園に向け、保育士や教員など合わせて11人の保育スタッフが決まっている。新たに滋賀県での認可保育園開園に向けて準備を進めているが、園長が『ゆくゆくは独立し拠点を広げていきたい』と語っているため、そのサポートもしていく予定だ」

 「医療と保育の間には、安全と安心のため決して切ってはならない関係がある。タクシーに子供を乗せ当園に向かわせるときなどでも、必ず当園に所属する看護師や保育士が1人付き添うことによって、子供のけがや病気などについて少しでも安心してもらいたい。細やかなサポートを心掛け、子供たちと保護者、さらには職場の安心にもつなげていきたい」

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記者プロフィール

吉田怜奈

吉田怜奈

役職 : -
在学中 : 立命館大学情報理工学部(2回生)
出身地 : -
誕生日 : 1993年11月14日
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