2014.04.25 20:12

「和食さと」代表、顧客から信頼されるレストランのつくりかた

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記者:吉田怜奈

サトレストランシステムズ(大阪市・中央区)は、和食中心のレストラン「和食さと」「すし半」「天丼・天ぷら本舗 さん天」などをチェーン展開し、全国に211の直営店舗を持っています。中でも「和食さと」は開業当時から、和食店ならではの畳敷きを残した個室を備え、個人客のほか、団体客から宴会場として利用されています。2008年のリーマンショックをきっかけに、品質をそのままにより手頃な値段で食品を提供できるよう、4年前からメニュー内容や価格、キッチン形態などの業務システムを幅広く見直しています。食を扱う会社として、多くの人々に笑顔を届ける取り組みについて重里欣孝(しげさと・よしたか)社長(55)に話を聞きました。


――会社の創業は

重里

:わが社のスタートは、1968年に設立した「株式会社すし半本店」(兵庫県・尼崎市)です。店舗数が多くなるにつれ次第にチェーン展開に目を付け、1970年代にはステーキ店や居酒屋をそれぞれ約20店舗開業するとともに、洋食店の「ファミリーレストランさと」も始めましたが、その後、和食業態へシフトしていきました。

チェーン店としてより多くの人に喜ばれるよう、どの地域でも受け入れられるような味付けやメニュー内容を試行錯誤した結果、1985年に開店した和食を取り扱う「和食さと」の経営が軌道に乗り一本化。当時、和食といえば職人の作る料理であり、アルバイトに調理を任せることは珍しい考え方でした。

――安全性と安心さを届けるための仕組みは

重里

:食品表示には「減農薬」などの抽象的な表現があり、お客様が食品に対して不安に思うことがあります。わが社は食の安全を感覚では捉えず、具体的な基準を設け定期的な検査をすることで、お客様の安心につなげています。そのために安全衛生担当という専門部署を設け、食品成分の検査を行います。

――業務システム改善のための取り組みとは

重里

:より手頃な価格の実現のために行っているのが、安全性はそのままに生産性を上げる業務改革です。その例が和食さとの「和食を扱うが、包丁ゼロ」を目標にしたキッチン。食材の仕入れから自社が直接関わり、一手に調理を引き受けるセントラルキッチンでカットされた食品を各店舗で使用することで、調理経験のないアルバイトでも調理がしやすくなりました。

機械改良の取り組みの一つに、1年かけて開発した独自のマイクロ波炊飯器があります。従来の炊飯器は、お米への熱の伝わり方にばらつきが出てしまい、食品の劣化が早かったのですが、この炊飯器を使うと、熱を釜の中心部から全体に均等に伝えることが可能です。お米がよりおいしく炊け、お客様に提供するまでの時間差による味の変化が最小限になりました

――今後の展望は

重里:業務改革で、現在まで合わせて約13億円のコストダウンができました。メニュー価格を見直し、食品の品質を上げお客様に還元しています。また、お客様や従業員、取引先全ての人々に笑顔になってもらうのが一番だと考えています。今後は、日本の食卓によく並ぶ西洋風の料理などもメニューに取り入れ、みんなに笑顔になってほしいです。

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記者プロフィール

吉田怜奈

吉田怜奈

役職 : -
在学中 : 立命館大学情報理工学部(2回生)
出身地 : -
誕生日 : 1993年11月14日
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