2014.04.28 13:10

【中小企業で働く学生を追う】営業で信頼を築くために2人が奮闘したこと

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記者:吉田怜奈

同志社大学経済学部1年生、古川大地(ふるかわ・だいち)さん(19)は、昨年8月から酒・食品の業務用卸売業務をしている株式会社マルヤマ(京都市右京区)でインターンシップを行っている。インターンを始めたきっかけは、昨年6月3日に行われたNPO法人日本アントレプレナーシップアカデミー(大阪市北区)の主催するインターンシップフェアで、マルヤマ営業部インターン生担当、武谷歩さん(39)の話を聞いたことだ。古川さんは「将来の海外営業の夢の実現のために、自分から提案する力をつけることができると思った」と振り返る。


インターン当初はひたすら製品や営業の勉強をし、同社の社員と営業活動をする前の実践的な営業シミュレーションを行っていたという。インターン生だけではなく社員も共に交渉や商品の説明を練習。インターン開始から約5カ月経った今は、同社の酒を販売してもらえるようにお店や企業に飛び込み営業を行っている。しかし、飛び込み営業なので、忙しさを理由に最初の2カ月間は話すら聞いてもらえなかったという。

 一緒にインターンをしている関西外国語大学国際言語学部3年生、中島由貴(なかじま・ゆき)さん(20)は「自分たちがいい商品を売りたいと思っていても、その話さえ聞いてもらえず却下されるのは悲しかった。ただ、この苦しかったことも社会に出るための自分にとってのよい経験となっている」と話す。

 古川さんが営業活動のひとつとして、中島さんと2人で行っているのが「ブラックラカント」というカシスの濃縮果汁の試飲会だ。もともとは武谷さんが健康志向の高い方にカシスの味を楽しんでもらうためにフィットネスクラブなどで商品を置いてもらうよう営業していたが、ほとんど売れなかったそうだ。

 しかし、2人が試飲会を通して顧客と直に接することで商品の良さが伝わり、顧客との信頼関係の構築や購買にもつながったという。顧客から「おいしい」「気になっていたけれど、こんな味がしたのですね」と言っていただけたという。「会場を用意してくださった担当スタッフの方も『ぜひまた試飲会をしてほしい』と言ってくださった」と2人は笑顔で話す。

 武谷さんはカシスを販売することやインターン生を受け入れることで「従来の酒卸業務に新しい風を取り入れ、社内に刺激を与えられれば」と思っているそうだ。この思いからもインターン生2人の活動に対して、予想外のことをしてほしいと考えている。顧客に対してはもちろんのこと、会社全体でよい雰囲気をつくることは「信頼関係」を築く大きな手段になっていると感じられる。社内でのコミュニケーションを通して人と人とのつながりを意識することで、顧客に対してもよりよい接客ができるのだという。

 今後の目標について、古川さんは「1年生から始めたのは、社会に出て知ることのできる点と長所を、これからの学生生活に生かしたいから。営業活動を通して海外の方とのビジネスをすることが将来の夢」と話す。中島さんは「社会人の方からいろいろな話を聞くことができ、自分のためになる。営業を通じて得たくじけない力を社会に出たときも役立てていきたい」と語った。

【取材後記】
「信頼関係」という単語が、取材中に何度も出てきました。人と人とのつながりを大切にする気持ちが、顧客や企業に商品の良さを伝えようとする姿勢から強く伝わりました。この気持ちは、株式会社マルヤマの、人が支えあうシンボルマーク「M」にも表現されているのだなと感じます。会社全体のよい雰囲気が、顧客への信頼関係につながるのだろうと思いました。学生通信社の記者として私も、人と人とのつながりを大切にし、その気持ちを取材先の方との取材にも生かしたいです。

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記者プロフィール

吉田怜奈

吉田怜奈

役職 : -
在学中 : 立命館大学情報理工学部(2回生)
出身地 : -
誕生日 : 1993年11月14日
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