米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」やタブレット型端末「iPad(アイパッド)」向けアプリケーションの開発を行うフィードテイラー(大阪市北区)はアプリケーションの独自開発で業界1位を目指している。「かつてのプログラマーとしての経験を生かし、社員が働きやすい『最適な環境』を追求している」と語る大石裕一社長に、職場づくりへのこだわりや展望を聞いた。
――アプリケーションの開発形態は
「独自開発と受託開発の2つだ。前者のアプリケーションには、全て当社のアイデアから生まれたオリジナル商品という愛着がある。商品に対する顧客の声を全て自分が受け、評価と改善案をまとめた上で社員に意見を求める。自分と社員で役割を分担し、最短時間で解決するためだ。『防犯マップ大阪』というアプリケーションは、大阪府警が提供するデータを基に犯罪情報を地図上に表示する。文字だけで伝えるのではなく地図と連携させ、ひったくりや子供の被害など犯罪の種類によって表示の色を変えることで、一目で犯罪情報が分かる」
――受託開発の例は
「2008年に携帯端末用基本ソフト『iOS』アプリ開発事業に参入し、現在までにつくったアプリケーションは約100個ある。うち8割が企業からの受託開発だ。また、企業が社員に支給するようになってきたiPad用に開発した『SYNCNEL(シンクネル)』は、資料データを部門ごとにリアルタイムで共有できるアプリケーションだ。大和ハウス工業が12年3月から導入を開始し、継続的に使われている」
――社員が働きやすい環境とは
「仕事に集中できるよう、ストレスを徹底的になくした環境だ。プログラマーとして働いた独立前の経験を基に環境づくりに努めている。例えば当社の開発室は、社員が壁に向かって座るように机と椅子を設置している。それぞれに電話を持たせず、他者が気にならない静かな環境で開発できる。プログラムを書く作業は単純作業ではなく知的生産労働だ。数学の難問を解くような作業であるため、集中力が作業効率と直結してくる」
――開発の経験から得た会社の考え方は
「(この業界には)経験を積むにつれ開発の第一線から遠ざかり管理職に就かされる人も多い。だが、野球で好成績を出した選手が監督になっても、必ずしもチームをいい結果に導けるとは限らない。これから分かるように、優秀な開発者を安易に管理職にすることに疑問を感じている。当社の社員の平均年齢は37歳だが、40代の社員も生き生きと働いている」
――今後の展望は
「作業の効率化をさらに進め、SYNCNELで業界1位を取るという目標を最短距離で実現したい。過去に勤めていた職場では、違う部署の社員から虐げられているプログラマーを目にしたことがある。社会にいるプログラマー全員の幸せを考え、当社が行っていることを外部へ発信し、残業禁止や副業推進などにつなげたい」
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