電気自動車の製造・販売を行うEVジャパン(大阪府豊中市)は、昨年12月に開催された第8回大阪モーターショーで農作業での使用を想定した「超小型EV(電気自動車)トラック」を出展し、注目を浴びた。バッテリーを災害時の非常電源として活用できるほか、お年寄りの新たな移動手段として地域の活性化に貢献することも期待されている。西田長太郎代表(70)にさらなる展望を聞いた。
――「超小型EVトラック」の特徴は。
西田:農家のサポートを念頭に開発しており、散水用ダンプの装備や電波放射による獣害対策なども可能にしています。家庭用コンセントによる5時間の充電で30km走行でき、フル充電すると家族が3日暮らせる電気が確保できます。
災害時には非常電源にもなり、通信機器の長時間使用のほか、赤ちゃんのためにミルクを温めることもできます。トンネルなど暗くて換気もままならない空間で作業する場合でも、邪魔なコードなしで照明として利用できる上、排気ガスによる一酸化炭素中毒になる心配もありません。現在、塩害に悩む仙台の農園の復旧作業などに役立ててもらっています。
――会社設立の背景は。
西田
:ガソリンスタンドの減少により、山奥や過疎地に住む人たちが給油に苦労するようになりました。その手助けをしたいと思ったのがきっかけです。大阪や京都の自動車整備工場を中心とする8社が集まり、2011年に設立しました。
53年間続けてきた自動車整備業の中で培ってきた技術を生かし、軽自動車のエンジンやタンクをモーターやバッテリーに取り換える「EVコンバージョン」を手掛けつつ、EVトラックをはじめとする電気自動車の開発と完全受注生産を進めてきました。1台49万8000円(ダンプ装備・税別)まで値段を抑えることに成功し、受注後2日で完成させられる体制を整えています。
――今後の活用や展望は。
西田
:バスを降りてからの移動手段に乏しい観光地は多く、お年寄りにとって壁になっているケースもあります。そこに当社の小型EVを導入してもらうことで、地域の活性化に貢献できればと考えています。
3年前からは山奥での天候に左右されない電力自給をめざした水力発電の研究にも取り組み、小さなダムを複数設置し非常時に相互補助できるシステムができないか考えています。豊かさと安心のため、希望や状況に応じた開発を今後も続けていきます。
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