コバヤシ産業(大阪市天王寺区)は、自社工場を持たずに工業製品の企画・開発・デザイン・製造を行っている“モノづくり商社”だ。「社会にとって有為な製品をつくり続けることが使命」。こう語る小林武則社長に今後のモノづくりや注力している事業などを聞いた。
――事業内容から
「電気、化学、天板、住宅建材分野の工業製品の企画・製造・販売を行っている。自社工場を持っていないので、注文を受けた後、協力工場で製造しており、このような事業形態は『ファブレス』と呼ばれている。なかでも力を入れているのは、ODM(オリジナル・デザイン・マニファクチャリング)と呼ばれる企画・開発の方法だ」
――ODMとは
「ユーザーのアイデアから製品をつくりだすことだ。要望に沿って、自社が素材からデザイン、実際に製造する際の工程やコストまで考えた上で、協力工場へ発注する。2006年に酒問屋の社長から、日本酒を温める酒燗器の製造を相談されたことがある。当初、大手魔法瓶メーカーに話を持ちかけたが、生産数量が少なすぎると断られた。このため、自社で酒燗器を開発・製造した」
「酒燗器は外側に湯を入れ、内側の容器に酒を入れて温める仕組み。チロリと呼ばれる内側の容器には、熱伝導率の高いスズを使用することで、ふたを触ると酒の温度が分かるように工夫し、色や形などのデザイン性も追求した。第2弾も開発することになった」
――自社工場を持たない中で品質を保つ方法は
「『目利き力』を大切にしている。目利き力とは、製品と最も相性の良い工場や材料を選定する力のことだ。1929年の創業時から積み重ねてきたネットワークや蓄積してきたノウハウをもとに、社内の各部署にいるエキスパートが目利き力を発揮している」
――工場や材料は、どのように選定するのか
「素材の性質、協力工場の得意分野や規模など、さまざまなことを考慮する必要がある。目利き力の有無が単なるブローカーとの違いだと感じている。また、製品の製造元は自社になるので、基準は当然厳しく設けている。もし自社工場を持っていると、自社工場を優先させてしまい、製品にとってベストな工場へ注文を回さなくなる可能性もある。ファブレスは最良の製品づくりのための、最適なシステムだと思っている」
――創業当時からファブレスだったのか
「当時は万年筆のペン軸の材料となるエボナイトを販売していた。また、69年から83年までは自社工場を持っていたこともある。自社での製造をやめたとき、私はまだ20代だったため、詳しい事情は分からないが、製造と販売のバランスを取ることが難しかったことが理由だと思う。ファブレス一本になったからには、ファブレスに誇りを持って商売をしていきたい」
「酒燗器の経験から、小ロットでもユーザーの『本当はこんなものが欲しい』をかなえられる製品をつくりたいと考えるようになった。インターネットを活用して『みんなと同じ』ではなく、『自分に合う』製品を探す人が増えた。大手企業はいまだに大量生産・大量消費を基準にしているが、中小企業ならではの小回りの良さを生かして、新しいモノづくりのシステムをつくりたい」
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