2014.04.24 09:53

神戸で10年続くチャリティー音楽祭、主催者に聞く震災への思い

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記者:別宮薫

兵庫県神戸市で震災復興のチャリティー音楽イベント「COMIN’KOBE(カミングコウベ)」が毎年開催されている。同イベントは阪神淡路大震災から10年がたった2005年に初開催。今年は4月29日に開催され、137組のアーテイスト、約3万人の入場者が参加した。2013年のイベントでは8,234,629円の義援金が集まり、宮城県石巻市の小中学校や高校などへの寄付に当てられた。アーテイストで同イベント実行委員長の松原裕さん(33)にチャリティーイベントにしたきっかけや来場者へ伝えたいこと、今年のイベントの感想などを聞いた。


――このイベントを開催したきっかけを教えてください。

松原:2000年に私が20歳で全国ツアーを初めて行ったとき、神戸出身ということを知った人たちからとても心配していただきました。そこで初めて、自分が震災の被害に遭われた人に何もできていなかったことに気付きました。

神戸の先輩への恩返し、若者に何かを気付くきっかけをつくりたいと思ったきっかけになりました。私が15歳のときに阪神淡路大震災が発生し、神戸に住んでいた私自身も被災しました。しかし、身内に不幸もなく、生活費や家の修繕費のことも両親に任せっきりで自分は何も考えていませんでした。

その罪悪感から今からでも何かしたいと思いました。そこで2005年に神戸市が行う「震災10年 神戸からの発信」事業の募集を知り、それまで考えていたことを企画書にまとめて提出した結果、市の審査に通り第1回のイベント開催に至りました。

――来場者へはどのような思いを伝えたいのでしょうか。

松原

:イベントに参加してもらいたいと思い参加料を無料にしています。イベントに来場することで、チャリティーで出演しているアーテイストや会場のボランティアスタッフと場を共有することできます。イベントの隅から隅までを意識して見て、何かを感じてほしいです。ただ、僕がこれを感じてほしいと強制するのではなく、一人一人が自発的に考えてもらえたらと思います。

――「来場者全員が趣旨を理解しているか疑問」という声がありますが。

松原

:中には趣旨を理解していない来場者もいると思います。ただ、できるだけ多くの人に趣旨を理解してもらうためには、まずはイベントに興味を持ってもらうことが大切です。変わるきっかけは人それぞれなので、たくさんの仕掛けを会場の中に散りばめたいと思っています。後は一人ひとりの感受力に委ねるだけです。気付くかどうかだけできっかけさえあれば、すべての人が変わることができると考えています。

――今年のイベントを通して特に良かったことは何でしょうか。

松原

:過去最高額の8,234,629円もの義援金が集まったことです。今まで、楽しい音楽のステージと震災への意識というテーマの温度差が課題だと感じていました。今年はそのギャップを取り除くため、アーテイストが震災について語るトークステージを設けました。

震災について活動されているアーテイストや考え方に共感できる人が話し、活動の紹介などをしました。また、阪神淡路大震災がきっかけで設立された『人と防災未来センター』の職員に震災や減災の取り組みなどを語ってもらいました。好きなアーテイストの震災への考えや復興への取り組みを直接聞くことは、教科書やメディアから得る情報より心に響くのではないかと思っています。

――イベントを継続していくために必要なことは何でしょうか。

松原

:関わる人すべてにとってプラスになるイベントにすることです。震災復興をしたいという気持ちは大切ですが、誰かが無理をすることになってしまうと続かない。協賛企業にとっても、来場者がそこの企業を選んで買ってくれることでメリットがあればと思います。出演料がないのにも関わらず参加してくれるアーテイストには、イベントに出演することで少しでも有名になって欲しいです。

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記者プロフィール

別宮薫

別宮薫

役職 : -
在学中 : 大阪大学人間科学部(3回生)
出身地 : -
誕生日 : 1992年10月12日
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