2013.05.29 18:05

「テンネット」宇野由紀子社長に聞く

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記者:増田智有

テンネット(大阪市中央区)は、収納用品を取り扱うネットショップ「収納の巣」を運営している。機能性に基軸を置きながらも、温かみのあるデザインが特徴の商品を扱う。昨年社名変更をし、さらなる意気込みを見せる宇野由紀子社長に事業への思いを聞いた。


収納で暮らしに感動与えたい


――経営者になるまでの経緯は

 「美術系の短期大学を卒業後、アメリカへ1年間語学留学し、帰国後企画会社に就職した。しかし1992年、バブル崩壊を機にその会社を辞職。同じ頃、これからは請負でなく企画提案ができるメーカーでないと生き残れないという考えから、父が経営する収納用品会社が企画室を設けた。『手伝ってみないか』と声をかけられ、軽い気持ちで入社。2002年からネットショップでの販売を始め、テンネットの前身である『収納の巣』でサイト運営を担当した。昨年テンネットへ社名変更するとともに社長に就任。心機一転でスタートを切った」

 ――ネットショップを始めた理由は

 「エンドユーザーに直接自社商品を届けたかったことが一番だ。当社の商品はシリーズで取り入れるとより効果的だが、店頭ではトータルで展示することが難しい。ネットショップなら、写真で使用例を表示できるし、商品の性能や開発背景、サイズなども詳しく伝えられる」

 ――商品開発の上でのこだわりは

 「最も重視しているのは機能性だ。収納用品はデザイン的な目新しさが求められがちだが、一番大切な役割は生活のなかの問題解決だ。収納という面倒な作業を楽しくする要素も必要だ。機能性はもちろん、片付けることへのモチベーションが上がるようなデザインも兼ね備えた、お客さまに長く愛される商品の開発を目指している」

 ――現在の課題は

 「雑貨やインテリアと違って、収納用品は整理や収納が好きな人にしか通用しないのではないかと悩んだ時期があった。収納用品のコンセプトを見直そうと、昨年ライフオーガナイザーの資格を取った。ライフオーガナイザーとは、単なる部屋の片付けや整理整頓のサポートでなく、暮らしや人生を俯瞰(ふかん)し、整理して仕組み化する技術を持つ人のこと。資格を取ってから、収納という行為以前に物と向き合うというステップが重要と認識した。顧客のイメージする暮らしを実現するためのひとつのツールとして、収納の役割を意識するようになった」

 ――仕事でやりがいを感じるときは

 「自社の収納用品で、顧客の気持ちや物との関わり方に変化が現れることが一番うれしい。『impress(感動させる)&organize(整理する)』という企業理念に、収納自体が目的ではなく、物を整理できる先にある、楽しさや感動を大切にしてほしいと願いを込めた。以前、バッグ収納用品を購入されたお客さまから、バッグがいとおしくなったという感想をいただいた。こうしたお客さまの声がやる気の原動力だ」

 ――今後の目標を

 「より良い商品を開発するとともに、ネットショップの認知度を高めること。もっと多くの人に、自分らしく整理された空間でのワクワクする暮らしを手に入れてほしい。収納は、料理と違って、単純で地味な作業と思われがちだが、もっとクリエーティブで楽しい作業にしたい」

※「フジサンケイ ビジネスアイ」2013.4.29(西日本版)掲載

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記者プロフィール

増田智有

増田智有

役職 : -
在学中 : 大阪大学外国語学部(3回生)
出身地 : -
誕生日 : 1992年6月15日
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