2013.01.21 14:21

「リトルムーンインターナショナル」文美月副社長に聞く

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記者:服部英美

リトルムーンインターナショナル(大阪市西区)は、女性の感性を生かしたヘアアクセサリーを企画・製造し、ネットショップで販売している。同社を1人で起業し、現在は夫の李仁(り・ひとし)社長とともに経営に携わる文美月(ぶん・みつき)副社長に起業の経緯や経営方針などを聞いた。――金融機関の仕事でスタートした

 「1993年新卒の、総合職として金融機関に入社した。大企業の中で自分の強みが見つからず、自信を失いかけていた。在日外国人で初めての本名採用だったが、ルーツの朝鮮半島についての見識が浅く、自分の核がなかった。韓国を自分の目で見るため、96年に退職して留学。言葉や文化への関心が広がった。同じく通名で育ち、本名に変えた在日コリアンの男性と出会い、帰国後に結婚した」

 ――起業の経緯は

 「2001年に次男を出産後、再就職を試みたが子供を抱えていることで壁にぶつかった。企業に勤める以外の道を模索していたとき、自宅でもできるネット通販と出合い、会社設立を決意した。偶然、懸賞で韓国旅行が当たり、『渡りに船だ』と商材の仕入れを目的に渡航。留学時からひかれていた韓国のアンティーク雑貨を買い付け、同年10月、自宅で起業した」

 ――起業時の苦労は

 「素人だったので仕入れから写真の撮り方、サイトの作り方まで自分で学んだ。起業から1年半後、多忙で家事や子育てに手が回らず、私の不注意で次男が大けがをした。家族を幸せにできない仕事に意味があるのかと思い閉店を決断。閉店セール中に、同じお客さまが複数回、製品を購入していることに気付いた。一度に複数の商品を買ってもらえるように、店づくりを工夫すれば、顧客単価が上がることが分かり、希望が見えた」

 ――ヘアアクセサリーに特化して再開した

 「閉店セールで学んだことを生かし、半年後に再開した。当時はどの会社も参入していない分野。カチューシャなどヘアアクセサリーは単価が安く、組み合わせて販売しやすい。商材が小さく保管場所が少なくて済むことなども自宅での商売に適していた。もともと髪の毛を整えることが得意だったことも理由。女性の感性や主婦の経験を生かせることは、金融機関で働いていたときには得られなかった喜びだ」

 ――事業で大事にしていることは

 「子育て中の女性など忙しい人でも簡単に髪を整えられる製品を提供している。きれいになることは女性の共通の幸せ。商品の写真だけでなく髪をまとめる手順を動画や連続画像で載せるなど、お客さまの視点でサイトを作っている。ヘアアクセサリーはデザイン性だけでなく機能性も必要なので、美しいだけでは支持されない。ネットショップは顔が見えないので、商品に対する批判を受けることもあるが、それを製品改善の原動力にしている」

 ――社会貢献にも力を入れている

 「10年7月に友人の紹介でラオスとカンボジアの2人の女の子の奨学支援を始めた。同年9月にラオスを訪問したとき、自社のサンプル品を女の子に渡したら喜ばれた。現在は、お客さまに寄付してもらった中古品を現地の団体経由で女の子に配布しているが、一方的な善意になってしまう可能性がある。親がアクセサリーを売って現金に換えてしまうこともあった。寄付された製品を無償で提供し、それを現地の女性が販売、女の子が自費で購入する仕組みを作り自立支援をしていきたい。自社の従業員とお客さま、現地の女の子、女性が笑顔になる『四方よし』を目指す」

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記者プロフィール

服部英美

服部英美

役職 : 広報部リーダー
卒業 : 大阪大学文学部
出身地 : 愛知県名古屋市
誕生日 : 1990年7月14日
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