無農薬野菜の販売を手がけるジーエー(兵庫県芦屋市)は、インテリアにこだわった自社店舗を開設するなど、野菜販売の新しいスタイルを模索している。その原動力は「大事に育てられたおいしい野菜を当たり前にし、農業をもっと身近に感じてほしい」という思い。大学時代に露天商として野菜とかかわり始め、「野菜王子」の異名を持つ福原悟史代表に野菜への思いを聞いた。
――野菜へのこだわりは
「無農薬で生産された野菜を販売している。産地は近畿地方を中心に西日本に限定。完熟した動物性堆肥や植物性堆肥を使用した野菜、肥料を使っていない野菜を生産する約50軒の農家から、夏はトマトやナスなど季節の野菜を販売当日の朝に仕入れている。このこだわりを伝えると、食に対する意識の高い消費者に良い野菜だと分かってもらえる。店舗で購入した消費者が、次は宅配で注文してくれるなどの反響を得ている」
――起業の経緯を
「大学在学中の2005年冬、兼業農家で育った経験から農業を始めたいと考えた。しかし、生産ノウハウの確立には時間がかかるため、まずは販売から始めて生計を立てようと、06年夏に中古車を購入。朝方に産地で野菜を仕入れ、昼間に路上で販売し始めた。その中で『野菜が味ではなく、見た目やサイズで選ばれる現状を変えたい』『農業従事者を増やしたい』という思いが募った」
「品質の良い野菜の販路を拡大するため08年、芦屋市に店舗を構えて宅配を開始。その後、ギフト販売の会社からの依頼で注文発送も行うようになった。現在は消費者と有機野菜の最初の接点となることが多い、百貨店やスーパーへの卸売りも取り組んでいる」
――店舗にもこだわりがある
「古い街並みとモダンな建物が共存する英国ロンドンをイメージした内装にした。メディアを通して自分のことを知り来店した消費者のために、自ら接客を行っている。店舗での売り上げは全体の15%にすぎないが、こだわったスタイルの店舗での販売をホームページなどで伝えることが、宅配や卸をするうえでの拡販につながっている」
――経営で心掛けていることは
「日々の行動が『安全でおいしい野菜を提供する』という理念に沿っているか、と考えている。昨年10月までは往復約5時間かけて、日中の寒暖差が大きく、野菜の栽培に適した兵庫県篠山市や京都府亀岡市まで仕入れに行っていた。体力的にも時間的にもロスが大きいと分かりながら産地に出向いたのは、自分の目で鮮度の良い野菜を選びたかったから。この姿勢で6年間続けてきたことで、野菜へのこだわりが社員にも伝わっていると思う」
――今後の展望を
「多くの人においしい野菜を提供するため、流通システムを構築し事業を拡大したい。現在は、農家から取引先に直接野菜を届けるシステムに変え、今まで仕入れに行っていた時間を経営の再勉強に充てている」
「農家から仕入れる量を多くすれば、農業従事者の増加につなげられる。事業を持続し、生産者との関係を保つため、生産者、自社、消費者の『三方満足』を意識している。仕入れ価格を安くしたいときは生産効率が上がる方法を提案し、お互いに利益が出るような関係を築いていくことが大事だ。野菜は生ものなので、ロス率や原価率が高いなど経営的に難しい面はある。しかし、有機野菜の業界は最大手でも中堅企業ぐらいの規模なので、挑戦者にとって面白い市場と考えている」
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