自動車エンジンの制御プログラムなど、コンピューターソフトウエアの研究開発や販売を行うグローバルエンジニアリング(名古屋市中村区)。IT(情報技術)事業で培った技術を応用し、バイオやロボットの製造や開発、販売にも取り組んでいる。荒川健一社長は「ITとバイオを融合し、(米映画の)『ターミネーター』のような人型ロボットをつくりたい」と夢を描いている。
――情報技術との出合いは
「父がコンピューターで設計を行っていた影響で、小学6年生のとき、遊び感覚でプログラミングを始めた。高校在学中に近所のシステム会社でアルバイトを始め、20歳のときに個人で起業、1998年に法人となった」
――ロボット開発やバイオ事業に乗り出した経緯は
「近い将来、技術の進歩によってロボットが人間との会話やプログラミングをするようになり、アプリケーションの受託開発までできるようになると創業時から予測した。人間と同じ働きをするロボットの製造で会社を続けていきたいと考え、学生時代はロボット工学を専攻し、二足歩行ロボットの研究を行っていた」
「会社が軌道に乗り始めた2004年、ある大学の農学部や医学部の研究者とバイオテクノロジーの共同研究を始めた。ITと融合させた新たな事業の構想がこのとき生まれた」
――ITとバイオの融合とは
「情報の処理や伝達の技術と、遺伝子工学などを扱うバイオテクノロジーの組み合わせだ。ITではコンピューターなどで使用される、スイッチの働きをする半導体素子『トランジスタ』をつくり、バイオでは皮膚や爪などの主成分のタンパク質を結合する技術を生み出している。人間と同様に再生可能な生体組織を持ち、コンピューターのように『トランジスタ』の集合体の機能で動く、人型ロボットを開発したい」
――タンパク質の研究から生まれた商品は
「イヌやネコには体調を崩したときに土や草を食べる習性がある。共同研究者による調査では、土に含まれる細菌に動物の自然免疫力を高める作用があることが分かった。自社のコンピュータープログラムで何十万種類もの細菌のデータを解析し、最も効果が高まる組み合わせを突き止めた。それが08年に特許を取得した『土壌由来混合培養菌』。酵母菌と乳酸菌を2種類ずつ組み合わせた細菌だ」
――どのような商品があるのか
「この細菌を使い、イヌやネコ用のサプリメントや、皮膚の疾患を治すためのせっけんを製造、販売している。獣医師が余命半年と診断したネコにサプリメントを与えたところ3年後まで生き延びたり、アトピー性皮膚炎にせっけんが効いたりといった効果が報告されている」
――今後の展望を
「ITとバイオという異なる分野それぞれで人材を育成するのは難しい部分もあるが、『ターミネーター』のようなロボットの開発に向けて土台を固めていきたい。社員の採用は人間性を重視しているが、車のブレーキシステムなど、ミスが人命に関わるプログラムの開発は、責任感とともに高度な技術力が不可欠だ。仕事を任せて責任感の向上を図りながら、研修や実践を通じて技術力を磨いていけるような環境をさらに充実させていく」
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