積水ハウス(大阪市北区)は鉄骨構造の耐力壁と制震壁「シーカスフレーム」を重ねて配置する技術「ハイブリッドシーカス」を開発した。10月1日から軽量鉄骨2階建て住宅「IS ROY+E(イズ・ロイエ)」と「Be Sai+e(ビー・サイエ)」に導入を開始する。この技術により住宅設計の自由度が高まり、今までより大きな窓を設置したり、室内の間仕切りを減らしたりすることで、自然を感じながらゆったりとくつろげる空間づくりが可能になった。
同社は2007年から、地震エネルギーを熱エネルギーに変換して揺れを吸収する制震壁「シーカスフレーム」を新築戸建住宅に搭載してきた。このフレームを住宅の構造体の一部に使用することで、地震発生時の建物の変形を約2分の1に低減できる。
東日本大震災のような大規模地震や、繰り返しの余震に対する耐久性が高いことも特徴だ。従来は、地震に強い建物にするために、シーカスフレームと住宅の構造体の強度を高める「耐力壁」を横に並べて設置していた。
一方、同社が2010年から中期経営計画の一環として、生活スピードをゆるめ、ゆったりとした時間を取り戻すための空間「スローリビング」を顧客に提案するなかで、間口を広く取った開放的な空間へのニーズが高まっていた。
同社が今年4月にグランフロント大阪に開設したオープンイノベーション拠点「住ムフムラボ」の来場者297人に行ったアンケートによると、スローリビング空間を住まいに取り入れたいと考える人が82パーセントに上った。そこで同社は、耐力壁と制震壁を重ねて設置する接合技術を開発し「ハイブリッドシーカス」の導入を開始した。
住宅の購入を希望する人は、庭やバルコニーに面した窓や吹き抜け、室内の間仕切りなど、開口部を大きくしたい場所に部分的にハイブリッドシーカスを取り入れることで、従来よりも大きな開口を確保できる。
制震技術の搭載と開放的な空間を両立することによって、地震に強いだけでなく、古来日本人に親しまれてきた縁側など家の内外をつなぐ中間領域を生かし、景色や香り、風などの自然を五感で感じられる住まいが実現する。
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