2014.04.22 10:59

【学生記者が行く】「シンプルハウス」山本武司社長に聞く

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記者:福井眞美

JR天満駅からにぎやかな天神橋筋商店街へ入り、南に進むと木製ビンテージ家具のぬくもりに包まれた店にたどり着く。シンプルハウス(大阪市北区)はリフォームやインテリアショップの運営を手がけ、中古マンションのリノベーション(大規模改修)を推進している。「理想の暮らしを届けたい」と語る山本武司社長に、長く愛される住まいづくりについて話を聞いた。

――中古マンションのリノベーションの利点は

 「低予算で理想の暮らしが実現できることだ。20年前から30代、40代の平均年収は増えていない一方で、マンション価格、住宅取得価格は上がっている。つくりが画一的な新築マンションを30代で購入し、ローンの返済に何十年もかける人が多い。生涯で住宅にかける金額を適切化できるのが、中古マンションのリノベーションだ。家族構成やライフスタイルに合わせて世界にひとつだけの住まいをつくることができる」

 ――より長く暮らせる住まいを目指している

 「大阪の空き家率は日本一高い一方で、新しいタワーマンションが増え続けている。新築物件に価値を置く風潮があるが、中古物件には中古ならではの味わいがある。既存の物件を活用し、子供が幼いうちはベビーカーや三輪車が置けるように玄関を土間風にするなど、人生の節目に合わせて設備や内装を変え、世代を超えて引き継がれる住まいを届けていきたい。インテリアも長く使えることにこだわっており、デンマークから買い付けた50年もののビンテージ家具や、イランの『アートギャッベ』という50年使えるじゅうたんを扱っている」

 ――リノベーションに取り組むようになったきっかけは

 「以前は店舗設計会社や内装設計会社に勤めていたが、日本経済が伸びていく中で、新しく建設してはすぐに壊していくことをもったいないと感じていた。古い家具の再生や、既にある家を長く使う手ほどきがしたいと思い、当社を設立した。1982年の創業当初は、大手の建設会社の下請けやマンションの内装仕上げの工事を請け負っていた。98年に中古住宅の再生がビジネスにならないかと考え、下請けをなくして事業を一本化した。困りごとを解決する、誰もが声を掛けやすい工務店を目指し、直接お客さまと話し合うようになった」

 ――顧客満足を大切にしている

 「お客さま第一主義を貫くため、メーカーの都合に合わせず、お客さまに一番合う提案をしている。施工の各段階でお客さまに意思決定をしてもらい、一緒に住まいをつくり上げる。癖、背丈、好み、体質、夫婦の生活様式を参考にして間取りを考え、トイレ以外のドアをなくしたりリビングを広くしたりしている。話し合いでは言葉をそのまま捉えるのではなく、裏側にある実現したい暮らしをくみ取ることを心がけている」

 「たとえば、広い収納スペースを重視していても、大型のクローゼットをひとつ取り付けるより小型の収納スペースをたくさん設置する方が希望にかなうこともある。一人一人に合った間取りを提案したい」

 ――経営理念に「絆『TUNAGU』」を掲げている

 「今年で60歳になるので、事業を次につなぎたい。企業の最も大切な社会的責任は、継続することだと考えている。30代、40代でリノベーションを依頼した会社が60代、70代になってもまだ続いていて、手直しもしてもらえる。それが最高の顧客サービスだ。売りっぱなしにせず、定期点検などのアフターフォローでお客さまとつながり続けたい」

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記者プロフィール

福井眞美

福井眞美

役職 : -
在学中 : 大阪大学外国語学部(4回生)
出身地 : 兵庫県
誕生日 : 1992年2月29日
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