近畿大学2年生の高梨秀之さん=写真右=は、株式会社ジオリゾーム(大阪府吹田市)のインターンシップ生だ。同社は「人々がいきいきと暮らす美しい街と環境を創る」ことを目指し、土壌汚染調査や電柱地中化などの環境活性化業を営んでいる。「今まで大学受験や、部活動に打ち込んできた」と高梨さん。それらはすべて、自分の満足のためであったという。ところが自分が満足するためだけの行動に、徐々に問題意識を持ち始め、誰かのために生きたいと感じるようになった。その想いが行動へと繋がり、去年12月にインターンシップ説明会に参加。ジオリゾーム代表の井上利一さんと出会い、「世のために働く」という経営理念に深く共感。2012年2月から7月末までの6カ月間、同社でインターンシップ生として働くことを決意する。
学生のうちに社会経験ができるインターンシップの魅力を「自分が大学を卒業し、社会に出た時のイメージが持てること」と高梨さんは考える。「自分が社会で活躍するイメージ、世の中や会社の仕組みを知っていれば就職活動は有意義となるのではないか」と語り、高梨さんは、同社が7月に開催した50人規模のセミナーの責任者も務めた。「京都の歴史を未来につなげる街づくり」というテーマで開催される同セミナーは、環境系NPO団体を対象に行われた。もちろんセミナー参加者は高梨さんを同社の正社員として見つめる。学生としての結果では無く、社会人としての結果を求められる。インターンシップでしか味わえない経験だ。
「セミナーの企画から、広報や当日の動きまで全て任せて頂いています」と目を輝かせる。社会人と同じレベルの責任と権限を持ち、自ら考え行動することで、働く上で大切な「礼儀作法・責任」を養うことができるのもインターンシップの魅力のひとつだ。インターンシップ生を受け入れるのは「社内の活性化。社会に貢献したいから」と井上代表。「組織は新しい風が入らないと硬直してしまう。学生の斬新なアイデアや行動などが社内活性の鍵」と高梨さんへの期待は大きい。
高梨さんのインターン生活は5カ月が過ぎ、残り1カ月となる。「人生の大きなビジョンや目標が無くても良い。目の前の環境でとにかくチャレンジして欲しい」とインターンシップを考えている学生にメッセージを送る。8月で同社を巣立っていく高梨さんに「全うな人間になって欲しい。若いのだから。常に自分から積極的に生きて欲しい」と井上さんはエールを送る。
(学生通信社 同志社大学 清水昭安)
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