2013.01.21 13:22

「サムシングファン」の薮本直樹社長に聞く

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記者:清水昭安

サムシングファン(大阪市中央区)は社員紹介や商品案内など、企業が活用する映像の制作を手掛ける。紙や口頭による説明だけでは感じることができない企業の価値を、映像で人々に伝えている。薮本直樹社長に仕事での心構えや会社の将来について聞いた。――起業までの経緯は

 「学生時代の夢はラジオDJだった。夢を追うため放送関連の専門学校へ進学し、そのまま放送関連の仕事に就いた。転機となったのは25歳のとき。コンピューター関連の専門学校に通う友人が、パソコンを使い映像を編集する姿を目にした。あの衝撃は今でも忘れることはできない。当時、映像編集はスタジオにある専用機器を利用しなければ困難だと思っていた。実際に映像編集技術は発達していなかった。興奮を抑えきれず、その場で友人に操作方法を教わり、1週間で自らの映像作品を作り上げた。完成した作品を眺め、数年後には企業が映像を使って業績を伸ばしていくことが増えるだろうと感じた。今後、確実に映像制作の需要が増加する時代が来ると察し、2003年に起業した」

 ――立ち上げ後には苦労もあった

 「会社を立ち上げた目的は、何か楽しい映像を作ることができるビジネスに挑戦するため。仕事が大好きで、日々自分が面白いと感じるままに映像制作を提案し続けていた。しかし、ある経営者の勉強会で自社のプレゼンテーションを行ったとき、参加していた他の経営者から、社会貢献の精神が欠けた会社経営の考え方について非難が集中。当時、自社の経営理念はなかった。そこで初めて自社の存在理由を熟考し、何のために映像を制作するのかを自らに問いかけた。企業は誰かの役に立つために存在していると考えるきっかけとなる出来事だった」

 ――経営で大事にしていることは

 「自社の存在理由について自問自答を繰り返し、出てきた答えは愛情だ。自分の家族にささげるような愛情。相手の気持ちを考え、相手が喜ぶ顔を思い浮かべながら生きる。その家族に向ける愛情を社会にも向けることで、みんなが心から幸せになる世の中を実現できると考えた。同時に、理想の社会を実現するための手段が映像なのだとも感じた」

 ――事業の特徴は

 「定額制の動画活用支援ムービーサポートだ。社内にスタジオがあるため、撮影がいつでも行える。映像を制作するだけで終わるのではなく、クライアントの思いを深く感じとり、最適な映像を提供する。また1年間、映像の制作、映像の活用方法の提案、映像更新などのサービスを行う。クライアントとのコミュニケーションを大切にするため、日ごろからディスカッションを絶やさない。今ではクライアントを深く理解する上では欠かせないサービスとなっている。こうした行動の変化は、自問自答の繰り返しにより生まれた経営理念『家族愛を社会愛につなげる価値観の創造と価値共有社会の実現』を突き詰めた結果といえる」

 ――今後の展望を

 「グローバル化が進み、世界はより身近になった。世界と向き合う企業が増える中、今後の課題は国境を越えた価値観の共有であると推測している。映像は言語も文化も異なる相手との価値の共感に最適な手段。現状の技術や思考に満足することなく、企業理念を達成するために成長し続ける。企業の価値を正しく伝えるために、クライアントとの密な打ち合わせを重ね、納得するまで取材や映像編集を繰り返す。ウェブサイトでの配信はもちろん、iPadや展示会、営業現場、接客、社内教育研修などでの使用をサポートする。クライアントの気持ちをより深く感じとり、企業の発展を、映像を通じて貢献する企業となりたい」

※「フジサンケイ ビジネスアイ」2013.1.14(西日本版)掲載

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