文房具専門店のワキ(大阪市福島区)は、日本や欧州を中心に約10万点もの文房具を取り扱っている。現在大阪に店舗を構え、インターネット販売は国内はもちろん、今年3月には上海でも開始した。岸井祥司社長に会社を引き継いだきっかけや今後の展望を聞いた。
文房具専門店ならではの物語演出
――1926年に「紙問屋 和気」として創業した
「もともとは紙を卸していたが、時代とともに紙だけではなく、文房具を多く取り扱うようになった。2000年の4月ごろ、取引先が少なくなったことで経営状況が悪化し、そのころ会社を引き継いだ。もともと文房具に興味がなく、継ぐ気はなかったが、ここで店の歴史を絶やさないよう『僕が何とかしないと』と思ったことがきっかけで決意した。昔は雑誌などを見て、商品を問い合わせて仕入れを決めたが、今は働きかけなくても文房具メーカーからニュースリリースを多く受け取っているので、お客さまに使っていただけるような新商品を選べるようになった」
――海外製品も扱っている
「07年9月からアジアを中心に海外へ出向くようになった。文房具に興味が出てきたのはそれからだ。海外製品は今でも現地へ行き、手に取って選ぶことが多い。今は文房具が大好き。一見、文具に見えないデザインのものがあり面白い」
――文房具専門店ならではのこだわりは
「文房具を使うお客さまの時間を大切に思って、商品を取りそろえている。そこに会社としての自信がある。今は店舗とネットショップとの兼業の環境もあり、お客さまの声が集まりやすい。『こんな商品があったらいいのに』など、ポンと言ってくれたことを大切にし、商品を選ぶ際の参考にしている。お客さまは趣味として、僕たちは商品として文房具を見るので、入り口の目線が違い、情報量も違う。こちらは売り上げに目が行きがちだが、お客さまはビジネスとは関係がない。意見を聞き、本当に求められる商品を取り扱うことで、実際にお客さまが文房具を使う時間が大切だと気づいた」
――新規事業については
「自社のロゴが入ったこだわりのクリアファイルや、表紙や中紙の種類、バンドの有無など自分でカスタマイズできるノートなどのオリジナル商品を開発している。コンセプトは『世界に通用するもの』。海外を視野に入れ、他の国の人にも使いたいと思ってもらえるようなデザインや色の商品を作りたい。自分が旅行に小物を持っていくのが好きなので、お客さまが旅行に持っていきたくなるようなものを考えている」
――オリジナル商品の売り上げは全体の3%達成が目標だ
「頻繁に海外へ行く今、旅行と文房具という好きなことが仕事になりつつある。専門店だからできることや、店に足を運ぶ価値を感じてもらい、お客さまの要望に応えられる店になりたい」
――今後の展望を
「これまで行った国と取引をし、小さくてもいいから海外でも実店舗を持ちたい。第1弾として今年3月、上海にインターネット販売の拠点を設けた。海外で日本の文房具の良さを伝え、逆にその国の商品も日本で販売したい。海外に行った経験から感じたことは、商品が店舗に並ぶまでのストーリーがあると売れることだ。店舗では直接お客さまに『どこで見つけて、どう感じたか』と話し、ネットサイトでは展示会に行ったリポートを公開することで、文房具と出会ったときの感覚を一緒に楽しんでもらいたい。海外に出ると商品を見つけるまでの過程が増え、ストーリーが生まれやすい。これが、文房具専門店ならではの僕たちの個性になると思う」
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