1948年の創業以来、紙の型を「抜く」、のりで「貼る」という箱作りの作業を同じ場所で続けてきた。注文を受け、会社に運ばれてきた山積みの紙をパッケージ化する。企画、印刷などさまざまな先行工程がある中で、納期と生産コストとの戦いの中で加工する、いわば「川下」の仕事だ。
古い機械が多く残る工場だが、「アナログにしかできないことがある」と川田昭宏社長(41)。
数年前から注文に応じるだけでなく「自分たちが作ったと言える商品を作りたい」との思いで、新たな取り組みを始めた。「箱屋」がつくるカレンダーで、地球儀や竜などユニークな形状をしている。きっかけは「年末のあいさつ回りで何か印象に残る商品を配りたい」と考えたことだ。
カレンダーを起点にオリジナルの紙製品プロジェクトをスタート。「(仕上がりが分かる)川下の仕事は、さまざまな製品の性能や形状をとことん追求できるのが強みだ」(川田社長)とし、本年度中にオリジナル商品を開発することが目標だ。現在社内には製造部と営業部があるが、より早く、より多くの顧客に見てもらうため、ホームページ上に企画部をつくった。顧客の思いを形にすることが狙い。若者のアイデアや多くの商品を見てきたノウハウ、デザイン力、提案力をサービスに生かし、顧客ニーズに応えていく。
新卒採用は一昨年からで、昨年は2人の採用を決定。中途採用も行っていたが「既に色が付いていてうちに合わず、辞めてしまう」(川田社長)ことがあったため、今後も積極的に新卒採用を進める方針。新入社員は、入社後すぐに工場や営業の現場で先輩社員の指導で仕事をする。
川田社長は5年前、「365日笑顔でいられる会社」という経営理念を策定。60年以上続く技術と実績を守りたいとの思いから、社員に愛着とやりがいを持って長く働いてもらえる環境づくりを進めている。「お客さまの要望(オモイ)をカタチに。社員の仕事に対する熱意(オモイ)をカタチに」(川田社長)が川田紙工のビジョンだ。
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