水環境・防災事業、地球緑化活動といった環境分野に多角的に取り組むフジワラ産業(大阪市西区)。人的被害軽減のための津波避難用タワー「タスカルタワー」をはじめ、リニアモーターカーの技術を応用した大型発電機など独自の開発を続けている。これらの発明で不況の中小企業界に、大化の改新ならぬ平成の改新を巻き起こす、藤原鎌足の末裔(まつえい)という藤原充弘社長に同社のミッションなどを聞いた。
――「タスカルタワー」とは
「2003年に、今後発生が予測されている東南海・南海地震による死者数が1万2000人に上るという報道があった。海岸沿いで暮らす人々に少しでも安心して生活してもらえるよう津波避難用タワーを開発した。山や丘などの高台がない地域でも階段を上り、高所に避難できる施設だ。今年3月までに西日本を中心に計34基のタワーを設置、5000人の命を救えるようになった。用地確保が難しい場所には、タスカルタワーのノウハウを活用した歩道橋型津波避難施設も提案していく予定だ」
「改正された道路法がこの4月から施行され、道路上にも津波避難施設の設置が認められた。設置場所や想定避難者数などに応じた広さと高さに設計し、耐震補強と2階建て構造を施すことで、より高い場所での安全スペースの確保を目指す」
――経営理念は
「学生時代はお金もうけのために社長になることを一番に考えていた。企業としての独自性を出すため創業前に何か発明しようと考え、日常に起こる問題に対してアンテナを張っているうちに『自然災害を防ぐにはどうしたらいいか』『命を守るにはどうしたらいいか』ということに目が向くようになった。1980年の創業以降、それらの解決を目指した商品開発を続けている」
――中小企業はどこも経営が厳しい
「だからといって下を向いていては切羽詰まって明るい未来は見えてこない。『地球と人類を守ること』を理念に『砂漠緑化夢プロジェクト』を創業30周年事業として始動させた。アフリカなどで進行している砂漠化を食い止めるため、人工雲を生成して砂漠地域に雨を降らせる計画だ。東京電力福島第1原発事故の4カ月後には原発危機の解消を目指し、リニアモーターカーの技術を応用した『巨径サークルリニア誘導発電装置』の開発プロジェクトもスタート。高い目標を常に掲げ、その達成のためにはどうすればいいかを第一に見据えている」
――今後の目標について
「明日にも大地震、大津波が起こる可能性がある。その影響は一瞬の被害にとどまらず、被災後の生活にも長く付きまとうため、必死に手を打つ必要がある。東日本大震災発生時には、津波によって5700個もの金庫が流された。こうした事例を踏まえ、地面に打ち込んだくいと連結シャフトを金庫につないで固定する『タスカル金庫』など、思い付く限りの対策手段を商品化し広めることで、世の中の防災意識を高めたいと考えている」
――学生に伝えたい中小企業の可能性とは
「社員全員が大手企業より良いことをしたいという闘争心を持ち、今は評価されなくても後世に名を残す仕事をする。そのような中小企業が大阪で100社、名古屋で100社、東京で100社もあれば必ず日本は良くなる。特許をどれくらい持っているか、研究開発をしているか、独自の“光る商品”があるか。これらの条件を学生が就職時に中小企業を選ぶ目安にしてほしい」
※「フジサンケイ ビジネスアイ」2013.5.20(西日本版)掲載
〈取材後記〉
不況で暗いイメージがあった中小企業。しかし、取材を通して「フジワラ産業さんって中小企業にもかかわらずすごい元気やな」という印象を受けた。社長を始め、社員のみなさんの目が輝いていて、ひとつひとつの言葉に自信と志の高さが込められていた。「日本がピンチな時こそお役に立てるのは我々フジワラだ」と。逆境の世に立ち向かう不屈の精神が、たくさんの発明を生み、実績を残す大きな要因ではないかと思う。社員の一人一人がひとつの歯車として重要な役割を背負っているからこそ生まれる一体感を感じた。中小企業の魅力はそこだ。きっと不況の日本を救ってくれる。そんなフジワラ産業のこれからの活躍に期待したい。
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