1991年創業のアル・コネクションプロダクツ(大阪市中央区)は、インターネットで商品などを販売するECサイトの企画制作や運用支援を行う会社だ。数々の職種を経験してきた中西理翔(りか)代表は「ウェブを活用してさまざまな生き方を模索できるこの時代の良さを伝えたい」と語る。独自のサービス「ウェブ戦略『る』シリーズ」の特徴や、起業と出産を乗り切った経験から推進する働き方について話を聞いた。
――さまざまな職種を経験してきた
「26歳のとき自分の可能性を追求したいと思い、勤めていた自動車用品メーカーを辞め、ペット用品の営業や英会話スクールの受付などを経験した。飲食店を経営したこともあり『OLが月に一度通いたくなるような隠れ家』をコンセプトに、足を使って珍しい食材を仕入れた。ターゲットとする客層が好む景品をつけてチラシを配るなど工夫して宣伝した結果、雑誌で数回取り上げられた」
――現在の仕事につながったきっかけは
「27歳のとき翻訳会社の社長秘書を務め、コンピューターでデータを作成し印刷物にする技術『DTP(デスク・トップ・パブリッシング)』を身につけた。数年後、紙と違ってスペースに制限がなく、表現やサイト同士のつながりに無限の可能性があるウェブに傾倒するようになった。当時はパソコンが日本に普及したばかりで英文のマニュアルしかなく、メーカーや販売店に電話してフォーマットの作成方法などを質問し、試行錯誤しながら地道にスキルを磨いていった」
――起業からの経緯は
「91年に事務所を構えた当初は、DTPを生かしたマルチメディアの制作やイベントの企画を行い、IT(情報技術)関連事業に発展させていった。その中で、ある携帯電話会社とつながりができ、当時は未開の分野だった携帯コンテンツの企画書を売り込んだ。摂取カロリーを管理しダイエットをサポートするサイトを提案したところ採用され、チャンスを自らつくることの大切さを実感。現在はECサイトの制作や改善を主事業としており、顧客は中小企業から大企業までと幅広く、通期で1000以上のサイト制作を手掛けている」
――現在注力するサービス 「ウェブ戦略『る』シリーズ」とは
「9種類用意しているウェブサービスの総称だ。主軸の『NOBILE(のび~る)』はウェブサイトの分析結果と、優先順位をつけた改善案を一覧表で提示し、それぞれの実施後に効果検証を行う。あるECサイトでは改善から4カ月で、月間約260万円だった売り上げが広告予算はそのままに2倍近くまで増加し、現在は1000万円を超えている。今後、パソコンの基本的な操作ができれば誰でも更新できる『WEB DEKILE(でき~る)』をリリース予定だ」
――今後の展望は
「テレワークを推進したい。99年から会社とほぼ同じ環境のオフィスを自宅内につくり、会議や来客時以外はそこで仕事と家庭の両立に挑戦している。会社にいるスタッフとは、メールや電話、スカイプなどでコミュニケーションをとっている」
「起業と同時に結婚した私は、翌年に長女、3年後に長男を出産し、その間一度も産休をとらなかった。特に長女のときは起業したばかりで時間と体力に余裕を持てず、クライアント先で急に体調を崩してしまったことがある。今は情報機器も発達し、体調や環境に応じた柔軟な働き方ができる時代だが、まだ職場を限定しようとする風潮は残っている。働き方についての相談に応じ教育活動に発展させていくなど、自身の経験をもとにテレワークを世に広めていきたい」
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