2013.04.27 07:17

「全ての学生が夢を語れる社会を実現したい」ドリプラにかける思い

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記者:穴吹美緒

「夢を語れる社会を実現したい」こんな思いから新田達也さん(23)は2010年から「学生ドリーム・プレゼンテーション」(通称:学生ドリプラ)の活動を始めた。学生ドリプラとは、学生が人生をかけて叶えたい夢をプレゼンテーションし、感動や共感を分かち合うイベントだ。新田さん自身、かつて挫折を味わいその経験が活動の礎になっているという。新たな夢と出会うまでの道のりと今後の展望について話を聞いた。

——学生ドリプラはどんなことをするのですか。
新田:学生が10分間という限られた時間のなかで、自分の夢が実現したらどうなるかという夢の価値となぜそれを自分が行うのかという理由を発表します。プレゼンターは夢の支援者を、観覧者は自分と向き合うキッカケを得ることができます。これまで2度大阪で開催しました。東京と名古屋にも開催に向けた支部を作っています。

——学生が学生に語ることの意義を教えてください。

新田:たくさんの有名人や経営者の講演を聞いてきましたが、話を聞いた直後はやる気がでてもなかなか行動にまでは至りませんでした。自分とは生きている時代や年代も違うので、遠い存在に思えたのです。同じ世代の学生が夢を語る姿を見ることで、自分でも何かできるのではと行動に移すことができると思います。

‐‐学生ドリプラを開催するまでの経緯を教えてください。

新田:実は大学入学当初は弁護士になろうと思っていました。周りの大学生が将来やりたいこともなく漫然と過ごしているのを見て、ある種軽蔑し、3年生までに司法試験に合格して大学を辞めてやろうと。ところが試験のために通い始めた予備校で、僕の人生を変える2人の男子学生と出会ったのです。

——どんな人たちだったのですか。

新田:2人とも若者の力でこの国を良くするにはどうしたらよいかを本気で考えていました。1人は在日韓国人で、韓国籍のため選挙権がなかった。

法律を学び、自分のように日本国籍を持っていないために辛い思いをしている人たちを守りたいと話してくれました。その2人になぜ弁護士になりたいのかを聞かれたとき、恥ずかしくて答えられませんでした。僕はただ地位や名誉のために弁護士になることしか考えていなかったのです。弁護士になる夢が揺らぎ、大学や予備校に行く意味が分からなくなってしまいました。

——その後どうしたのですか。

新田:自己啓発本を読み漁ったり、セミナーに行ったりしましたが、自分のしたいことは見えてきませんでした 。1、2カ月学校にも行かずに考え込んでいたときに、予備校で出会った2人から学生団体に誘われたのです。

最初は若者の投票率を向上させる活動をしていたのですが、どんどん活動範囲が広がっていきました。そのなかで、社会人によるドリプラを運営していた大橋正伸さんという経営者に出会い、2009年12月に東京で初めてドリプラを見ました。

2000人規模の会場で、自分の親と同じ世代の人たちがボロボロ泣きながら夢を語る姿に、自分も涙が止まりませんでした。普段、目にしていたのは電車でしんどそうに通勤しているような大人ばかり。こんな熱く夢を語る大人もいるのだと思いました。

——なぜ学生ドリプラを開催しようと思ったのですか。

新田:ドリプラはもともと社会人が主で大学生があまりいなかったのです。自分の周りにも夢を持った大学生はいるのに、夢を語れる場がないことがもったいないと感じたからです。

そして、大学3年生の夏に自己啓発本を読み返していると、その本の著者がドリプラ創設者の福島正伸さんであることが分かったのです。しかもその本は予備校で出会った2人が自分の誕生日にプレゼントしてくれた本でした。

そのとき目標がなくなりもがいたこと、ドリプラとの出会いが一本の線でつながったような気がしました。僕が学生ドリプラをしなければという使命感がわいてきたのです。

——そのためにどんな行動を。

新田:さすがに1000人規模の学生ドリプラをしたいと宣言したときは周囲からも非難の嵐でした。大学生が夢を語るイベントなんて誰が見にいくのか、もっと就職活動など他にやることがあるだろうと。

でも、3カ月間1人でチラシを配ったり、社会人や学生団体の交流会に参加したりして語り続け、ひどい時には「帰れ」とおしぼりを投げられたこともありました。

それでも粘り強く語り続けるなかで、ある学生がプレゼンターに名乗りを上げてくれ、それを機に仲間が集まってきてくれました。

2011年9月の第1回目のイベントでは、学生たちが「小さな幸せを共有するスペースを作りたい」「アートで病院をほっこりする空間にしたい」とこれまでの人生やこれからの夢を本気で語るので思わず涙してしまったり、それを聞いている観覧者も感動で涙を流したりしていました。

——新田さんの夢といまの学生にメッセージをお願いします。

新田:全ての学生が夢を語れる社会を作るために学生ドリプラを全国の地域で開催したいと思っています。

10年後の節目となる2020年までにさらに札幌、仙台、広島、福岡でも支部を作りたいです。いろいろな人に出会い、経験を積むなかでやりたいことは出てきます。僕が学生ドリプラをやりたいと思ったのもそれまでの経験があったからこそ。

行動すれば、自分のやりたいこととやりたくないことも分別できます。海外に行ってみたけどやりたいことが見えてこなかったとか、逆にボランテイアは偽善だと思っていたけどやってみたらやりがいがあったなとか、やってみないと分からないことは多い。だからこそ学生の皆さんにはどんどん挑戦していってほしい。


学生ドリプラ公式Facebookページ
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gakusei.drepla@gamil.com

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記者プロフィール

穴吹美緒

穴吹美緒

役職 : -
在学中 : 大阪大学文学部(3回生)
出身地 : -
誕生日 : 1992年10月14日
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