カタシモワイナリー(大阪府柏原市)は、1914年創業の老舗ワイナリーだ。柏原市で獲れたブドウを使い、タコ焼きにあうスパークリングワイン「たこシャン」を販売。後継者不足で、放棄されたブドウ畑をボランティアとともに運営したり、築100年以上の古民家など歴史的な町並みとワイナリーをめぐるツアーを開催したりと、町おこしにも意欲的に取り組む。高井利洋社長に地元への思いや住民とのつながりについて聞いた。
ブドウ作りで「柏原の宝」増やす
――なぜ、地域の活性化に取り組みはじめたのか
「自分の育った柏原を元気にしたいと思ったから。大阪府は温暖でブドウ作りに適しており、雪の少ない気候から昭和初期には耕作面積が全国一だった。現在も全国7位の生産量を誇る。しかし、約15年前から高齢化に伴う後継者不足で、栽培放棄地が増えてきた。現状を何とかしたいと思い、ワイナリー経営をする自分にできることはないかと考えるようになった。当社のワインは、手動式ポンプや水車で動くブドウ搾り機などを使い、大正期に地元の日本酒メーカーやみそ屋、しょうゆ屋が知恵を出し合い作った。地元の人に協力してもらった分、ワインで恩返しをしたい」
――何から着手したのか
「7年前からワイナリー見学と町めぐりを組み合わせたツアーを始めた。柏原市には、7世紀後半に建てられたとされる智識寺東塔の礎石や弘法大師が干魃(かんばつ)を救うために掘ったといわれる『清浄泉』など、多くの史跡が残っている。歴史ある町並みを見てもらうことや、ブドウ作りが盛んなことを知ってもらうことで、柏原市をより理解してもらえればと思う」
――週末ごとのツアーは好評を博している
「国内外から年間約2800人が参加している。参加者からのブドウ作りをやってみたいとの声をきっかけに、ボランティアとして手伝いをしてもらうようになった。大阪市内から1時間弱で来られる手軽さから、多いときには約200人が時間を見つけて畑作業に精を出している」
――地域とのつながりは
「他の農家から維持が困難となったブドウ畑の管理を引き受け、約1ヘクタールだった自社農園が管理受託地で約3ヘクタールまで広がった。当然、自社だけでは管理できないので、地元の住民や企業に協力を依頼して一緒にブドウを作り始めた。あるレストランは80人のお客さんとブドウ作りを始め、一緒に汗を流す中で常連客と絆を深めたり、それが宣伝となって新たな顧客も増えたりする。育てたブドウで作るワインには思い入れがある。みんなが買ってくれるし、私たちも低コストで販売できる。地域でお金を回すことが大切だ」
――地元の人と一緒に栽培したブドウを使って、2010年にタコ焼きにあうスパークリングワイン「たこシャン」を発売した
「インパクトのあるネーミングから各メディアにも取り上げられた。もちろん柏原市のブドウの認知拡大にもつながった。売れ行き好調で、2年目には1万本以上を出荷できるようになり、大阪の新名物として親しんでもらえればと思っている」
――柏原市への思いは
「私の宝物はブドウ畑だが、人それぞれ宝物がある。地元にあるそれぞれの宝物をみんなで大事にしたい。例えば、今年4月、柏原市のある本格フレンチレストランが1周年を迎えた。フランスや神戸で修業を積んだ地元の人が開いた店で、当社のワインやぶどうジュースを提供している。町の宝物が増え、町を誇りに思い、自然と柏原に住みたいと思う人が増えていってほしい」
- 人との出会いで人生は変わる(2014.04.27)
- 動物病院の培養キッドで再生医療を動物にも(2014.04.25)
- 福祉を仕事に、2月に大阪で就職フェア(2014.04.25)
- 掃除でエコを実感(2014.04.25)
- 仕事場を遊び場に――俺らの夢工場(2014.04.25)
- 中小企業で連合し、モノづくりから価値づくり(2014.04.25)
- 【学生記者が行く】「福市」高津玉枝代表に聞く(2014.04.22)
- 【学生記者が行く】「アル・コネクションプロダクツ」中西理翔代表に聞く(2014.04.22)